ルクガイ

□frailty
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思えば昔からそんなだった気がする。

ガイがベストを脱いでチョーカーを外すと現れる、白い首筋。

俺はガイの後ろ姿を見つめながら、それに、無意識に手を伸ばしてしまう。
そう、小さい頃から。









おれがゆびでガイのくびつっつくと、ガイはすごくびくってしてあわててにげる。
「…どうかなさいましたかルーク様」
そんで、なんもなかったみたいに、わらう。







ぴと、ってわざとゆっくりガイのくびにさわってやる。ガイは「どわっ」ってヘンなこえ出して大げさなくらいに体をかたくする。
「何すんだよルークっ」
そんでちょっとだけいやそーにおれをにらんでくる。赤いかおははずかしそうにも見える。







わざと首筋をなぞるようにすっと指先をかすめさせる。ガイの肩がぴくりと跳ねる。
「やめろ」
ぺんっと俺の指はたたかれ、けれど俺はしつこくガイの首を狙う。
「だーっ、いい加減にしろっ!」
ガイはびくびくしながら俺から距離を取ろうとする。俺はガイのスキを見つけようとじりじり距離をつめる。一種ゲーム感覚。





「ふあっ…」
ガイが変な声を上げた。今までの「ぎゃっ」とか「どぅわっ」とかゆー声じゃなくて、何て言うか、何て言うのか。
ガイは自分で驚いたのか、口を押さえて固まった。
………俺はちょっとだけ照れた。







何となく、ガイに触りにくくなって、しばらくゲームはやんなかった。でもどーしてもガイに目がいってしまう。ガイはガイでなんかバツの悪そーな顔してやがるから、目が合うとお互い気まずかった。
触らない日が続いた。
つまらない日が続いた。
俺は寂しくなった。
仲直りしたかった。
……ケンカなんかしてないっつーのに。
てゆーか別に俺特別悪い事した訳じゃないよなそうだどっちかっつったらガイが悪いんじゃんそうだガイが悪い。
そして、俺はまたガイの首筋に指を伸ばす。
びくんっ、ってガイの肩が跳ね上がる。
俺は少し不安になりながらガイの次の反応を待った。
ガイが体を固くしたまんま、
「いつまでっ…触ってんだよ…」
冷や汗出しそーなイキオイで震えてるから、俺はおかしくて吹き出した。









「ん…ふっ」
今は、もう指だけじゃ物足りなくて、舌を這わせたり、する。
そうすると、今までよりもっとガイの首が近くに見れる。
気付く事が、たくさんあった。
健康的な肌の色が意外と白い事。
甘い皮膚の匂い。
綺麗なライン。
そしてガキの頃は大きく見えたガイの体は、本当は俺とそれほど変わらない大きさだったという事。


ああ、そうだ、
昔から、俺は、


この装いを解くと表れるどこか無防備な後ろ姿を護ってやりたいと思ってたんだ―――



ガイの背骨を辿るようにキスをして、固まった体を腕の中に閉じ込める。
俺はガイが、俺に体を、心と一緒に預けてくれるのを待ちながら、愛していると囁いた。
愛している。
愛している。
強がりと笑顔で防備して立ち続ける、健気な俺の召し使い。





「っはぁ…」
ガイがゆっくり息を吐いて体の力を抜いた。
俺の胸元に収まった頭がころ、と俺の方に傾いて、胸が穏やかに上下するのを見た。
俺は嬉しくて思わず顔がにやけてしまって、温かい重みをかき抱いた。





後ろ姿はもう見えない。
俺は、ガイと、共にいる。





end


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