パラレル部屋

□夢みるアンドロイド〜エピローグ集〜
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『ユーリ・・・16歳おめでとう。今日はユーリの誕生日だね。この画像を俺と一緒に見ていると思うと少し気恥ずかしいな』


コンラッドにしては珍しく照れたようにこめかみを指先で掻きながら・・・・・それでも優しく微笑みかけてきた。


『16歳は特別な年齢だからね・・・・世間では大人の仲間入りだ。ユーリは今日から大人になったんだ』


薄茶色の・・・柔らかで穏やかな銀の星がそこに煌いていた。

『まだユーリは学生ではあるけど世間では一般人として扱われることになる。これからは大人として責任を自覚して前を向いて歩いていってほしい。
世間の荒波はきっとユーリにいろんな試練を与えることになると思う。だけど・・・・ユーリはユーリらしく今のまま素直でまっすぐなユーリでいてほしい。そして幸せな人生を歩んでほしい・・・・そしてできることなら・・・・・』



一瞬瞼を閉じ俯いたコンラッドは意を決したように顔を上げ幸せそうに微笑んだ。

『許されることなら俺がいつも貴方の後ろに歩いていることを許してほしい。俺が主と認められる人間はユーリ・・・・貴方しかいないのだから・・・・・・』







「う・・・・・・・・・」

ハッと振り返った村田の目に飛び込んできたのはモニターを凝視しながら、その漆黒の双瞳から止め処なく涙を流し続ける親友の姿だった。

「渋谷っ!!判るの?判るのかい?」

その両肩をグッと掴み揺さぶられユーリの喉から関を切ったような・・・・悲鳴のような叫びが迸った。


コンラッド!!コンラッド!!コンラッド!!コンラッド!!コンラ・・・・・・・・・・

何度も何度も繰り返される名前。
ユーリは泣き叫ぶようにモニターの中で微笑む自分を愛してくれるアンドロイドの名前を叫び続けた・・・・・かと思うと糸が切れたようにその場に倒れ伏した。

慌てるようにその身体を抱き起こすと村田はそっとベッドの中に横たえた。


爆発したように流れたユーリの涙は意識を失った今も閉じた瞼から溢れ頬を伝いシーツに染みを作った。


悲痛ともいえるほどのその姿に村田は眉を顰めつつ、それでもホッとしたように小さく息をついた。


「ようやく・・・・現実に戻ってきてくれたね・・・・渋谷。今は哀しんでもいい。嘆いてもいい。
でも目一杯哀しんだら顔を上げてまっすぐ前を見て歩いてくれ。

いつまでも哀しんでいる君のそんな姿誰も望んではいないよ?
もちろん・・・・君の愛するアンドロイドもね・・・・・・・・」


再生が終了したモニターでアンドロイドが微笑んでいた。



2007/10/17〜2007/10/26
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