パラレル部屋

□今日から「マ」のつく仔猫日記
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「この森に間違いはないのか?」

男は薄茶色の髪を軽く風になびかせ背後に付き従ってきていた地元の民らしき貧弱な男に声をかける。

「へぇ・・・相違ございません、旦那様」

卑屈そうに腰を折り男は媚び諂うように馬上の男を見上げて愛想笑いを浮かべる。

その卑屈そうな笑みを胡散臭そうに一瞥した男の視線は森へと移動した。

鬱蒼と生い茂る木々の向こうに広がるは闇を髣髴とさせる森閑とした世界

「この先に魔物が出るというのだな?」

「へぇ・・・もう何人もの村人が襲われまして・・・そりゃでかい真っ黒な魔物で」

思い出したかのように身震いする男を尻目にそのものは馬を森の入り口に繋ぐと怪しい気配を感じつつゆっくりと森へと足を進めていった。




まだ日中だというのに木の葉の影に邪魔をされ日の光が射し込まない。

これならばどのような魔物がいても不思議ではない・・・・

男は自嘲気味に笑う。



周囲の異様な雰囲気に臆することなく男はずんずん森の奥へと足を進めて行く・・・

そのときだった


ギャァ!!

不意に野鳥が荒々しい声を立て飛び立った。

男は徐に腰のものに手をかけるとスラリ・・・・鞘から剣を抜き去った。





2007/11/29〜2007/12/07
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