パラレル部屋

□わんコン物語
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だが


ことは予想を反した。



「ばっかやろぉ!お前ら6年生にもなってやっていいことと悪いことの区別もつかないんなら、もう一回幼稚園に行って
ちゃんと善悪の区別をつけられるようにしつけてもらって来いよ!
でかい図体してそんなこともわかんねぇのか?!この大バカヤロウ!!」


ボーイソプラノの耳に涼しい声が奏でるのはなんとも辛辣な厳しいお言葉★

有利の罵声(??)に怯んだ少年たちの隙を突き有利はランドセルを放り出すように投げつけると
いまだ警戒心を解かず唸り続ける犬たちに駆け寄った。






驚いたのは犬の方だった。

自分たちを好き放題苛んでいた人間とは違う人間が現れたかと思うと・・・・突然自分たちの傍に駆け寄ってきたのだ。


思わず一層低い唸りを上げる
だが・・・・飛びついてきた少年はそんな犬たちに怯むことなかった。

むしろ優しく柔らかく穏やかで・・・そして哀しい色を瞳いっぱいに溜めて「大丈夫か?大丈夫か?」と言いながら
ランドセルから飛び散った荷物の中から鋏を取り出すと迷うことなく2匹の戒めをすばやく解いた。
たじろぐ犬たちの背を押してやる


「逃げろ!犬!!」

逃げろ!といわれても・・・・
犬たちは自分たちの戒めを取ってくれた少年をじっと見つめた

そしてクルリと振り返る

そこには自分たちを捕まえ殴りひどい目に合わせた人間たち。
彼らがこの優しい人に危害を加えようとしていることを犬たちは察した。


傷ついたまま2匹は有利の前に立ち塞がると低い唸り声を上げて自分たちの敵を威嚇し始めた

「くっそぉ〜〜〜生意気な犬だ!人間に牙を剥きやがって!!」
「こんな奴らさっさと保健所へ送っちまえばいいんだ!!」
「人間に危害を加えようとする犬なんかさっさと処分されちまえ!!」

その言葉に有利がカッと叫んだ

「この犬んたちを苛めたのはお前らの方だろ!!こんなワンコを苛めて楽しいのかよ!弱いもの虐めしてなにをいい気になってるんだ!
こんなのさいっていなヤツの行為だろう!!何が保健所だ!!お前らが処分されちまえ!!」



「なんだとぉ〜〜〜〜〜〜!!!!」
「このやろぉ〜〜〜」
「生意気なヤツだ!!」


都合が悪ければ悪いほど・・・追い詰められれば追い詰められるほど頭の悪いやつは一層攻撃的になる

有利の目の前の少年たちもお約束のパターンだった。




折角いい気晴らし対象を見つけて気分よく苛めていたというのに、こんなガキのおかげでいい気分が台無しだ!
こいつがしゃしゃり出てこなければもう少しスカッとできたのに!!


すっかり責任転嫁・・・というか自分たちの行いの卑下さぶりになど気づいてもいない。

少年たちはキッと見据えるように上目遣いで睨みつけてくる有利へとジリジリと迫った




小汚い野良仔犬を虐めるより・・・・近所で評判の美少年である有利を苛めて泣かすほうが数倍面白い・・・・
その荒んだ表情にイヤらしい哂いを浮かべながら・・・・
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