夢つづり

□Love Veritgo
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「ねぇ、ゆーじ」


「ゆーじってば、聞いてるの?」

最近、メディアラッシュで忙しい彼は、ソファにもたれて俯いてる。


眠ってるかと、そっと近づくと。
いきなり、腕を引かれてバランスを崩した私は。
気がついたら、彼の腕の中にいた。



「なぁ…新曲聞いた?」

耳元で囁かれ、思わず身をよじると。

のどを鳴らすように笑われた。
朱く色づいた頬を、なぞりながら答えを促すように、視線を合わせてくる。


「聞いたよ、ゆーじの曲素敵だった…」

アルバムが出るまで絶対聞かない!と新曲については、彼から一切何も聞かなかったから。

正直、ゆーじの書いた新曲には驚いた。良い意味で、裏切られた気分だった…


曲を思い出して、溜息をついた私に。
ちょっと眉を上げた、いぶかしげな表情で「本当に?」なんて聞いてくるから。

「本当に!凄く、よかったよ!聞いてて切なくなったし。ゆーじカッコイイって思ったもん」

と、鼻息荒く一気にまくし立てた。


「ぶふぁ! そんなに、大声だして肯定せんでも」

吹出しながら、嬉しそうに頭を撫で回されて。
思わず、ふて腐れてると。
唇に優しいキスが、降ってきた。






「あの曲はな…お前さんの、反応がちょっと心配だったんだよ。」


思いがけない彼の言葉に…
キスで蕩けた思考が戻り、目を見開くと。

困ったような、優しい瞳とぶつかった。


暫く悩んで、「どうして?」と問えば。


「詞の内容が、内容だろ?いくら歌詞でも、あれはちょっとな…」

「俺はお前さんに、あんな事思ってないからな!」

そう言いながら、更にぶつぶつと…

大体あれは付き合う前に〜だの。
このタイミングで入るとは〜だのと、
唸ってる彼を見て。





思いがけない贈り物を貰った気がした…



「ゆーじ好き。大好き!」

おもいっきり、抱き着いてキスをした。


かなり驚いたらしい彼に、満面の笑顔でつげる。

「ゆーじの魅力に、私はいつもクラクラだよ」


ちょっと目を見開いて、少し照れたように抱きしめられた。

耳元で、溜息のような囁きが聞こえて。
私は、しっかりとうなづいた。





「お前さんの、すべて奪ってもいいか…?」








私の何もかも奪って
貴方の何もかもを与えて






end


2009,3,13


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