書物

□不揃いな13色クレヨン(上)
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朝起きて、すぐに肌寒さを感じて再び布団に潜る。

しかし会社があるため渋々上着を羽織り起き上がる。

先日、立冬だとニュースキャスターが言っていたのを思い出す。

リビングに向かうと、一足早く起きていた夫がコーヒーを入れていた。

「おはよう」

「おはよう」

夫が読んでいた新聞を覗き込んでから、椅子に座る。

「読む?」

夫が差し出した新聞を大丈夫だと笑いながら、夫に返す。

木曜日定休日の歯科医の夫が起きているのが珍しく見えた。

「今日は俺がやるよ」

更にキッチンに向かう私を夫が止めて、サンドイッチを作る。

「何かあったの?」

振り返って聞くと、夫は笑いながら、何もないと言う。

嘘つき…。

あなたは嘘吐く時前髪をいじる。

今のあなたよ。

でも、対して執着なく食事をする。

「今日は冷えるらしいよ」

「そう、そろそろコートを出さないとね」

私は冷たく答える。

あなたは、穏やかな顔で微笑む。

変わったのは、そう私だけ。

結婚して 10年。

結婚したばかりは違った。

私達は周りとは違う。

ずっと恋人同士のまま変わらない。

けれど、今は。

「行って来ます」


「うん、気を付けて」

手を振る夫の顔すら見ずに出社。

今日は何があるのだろうか。

時計の日付を見ようとしたが、バスが来ていた為乗り込む。
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