書物

□-貫-
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-2007年12月24日

雑踏の中、数十メートル先の橋の上に人だかりが出来ていた。
インディーズのバンドが橋の上でライブをしていたからだ。
あの人だかりに向かわなくてはいけないのかっと疲れを感じながら見ていると、数メートル先でルーズ目の長い金髪の男がカメラを数十メートル先の橋にレンズを向けていた。
真冬だと言うのに長袖Tシャツにジーンズだけの姿。
コートも荷物も見当たらない。
つまりカメラだけを持ち歩いているのだろう。
何をしているのだろうか、大して珍しい橋ではないのにっと、思いながら隣を通り過ぎた。
通り過ぎながらみた横顔は西洋系の彫りの深い顔だった。
翌日。
取引先の人間との昼食兼会議後に次の会議まで時間が開き、歩いた表通り。
表通りから少し入った場所に人だかりが出来ていた。
看板には、『カレン、F氏写真展』と書かれていた。
時計を見つめてから、写真展に向かう。
入場料は無料。
ただ、魚の水煮の空缶詰が、置かれていて、お金が溢れるほど入っていた。
そんなに良い写真なのだろうか。
入って一番に目に入ったのは、レストランのゴミ箱を漁る老人とそのレストランで食事終えお茶をしている政治家が死角越しに映っている写真だった。
政治家の皿には、その人物がその食べ物を嫌いなのか、定かではないが、野菜が残したままになっていた。
次の写真は、腫れた腕に当て木をしている子供と、擦り傷の手当てを病院で受ける子供が窓ガラスの内と外で映っている。
また次の写真をみると、先日のみた景色が映っていた。
橋の上でインディーズのバンドが演奏をしていて、橋の下には小さな小屋が並ぶ。
自分では気づかないフリをしていた、常識の差や差別視を思い知らされる。
そして、自分は出来た人間ではないことを痛感する。
「(掲示は止めませんよ。みんなはもっと、たくさん知るべきだ、貧しさや自分の汚い部分も)」
急な英語に、振り返ると、小太りな男と黒いスーツの数人の男達に囲まれた、西洋系の男が話していた。
「なんなんだ、英語なんて使いおって、馬鹿にしているのか?」
小太りな男は汗を拭きながら、不満を呟く。西洋系の男は、言葉が通じず困り顔になる。
「あの、通訳しましょうか?」
あんまりな、やり取りに西洋系の男の人が不備になり、自ら申し出た、小太りな男の感謝を述べ、の言葉を代弁すると。
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