書物

□-貫-
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---空港
「明日会うって言ったわ」
立ち尽くすカレンに私はゆっくり近付いた。
「ごめん「聞きたくない」
カレン言葉を遮るように瑛子が叫ぶ。
「なんで?ねぇ、なんで?私はまだ、あなたを知らないのよ?」
人目を気にせずに、ふらふらっと近付いていく。
カレンは逃げずにそこにいた。
「せめて、一言…」
泣き出しながら抱きしめる。
「言わせなさいよ」
ギュッと力を込めて抱きしめる。
「好きよ」
カレンは、目を見開いて驚く。
「"一緒に来い"って言ってよ」
泣きながら笑顔を向けて笑うと、カレンは瑛子の唇に優しくキスをして、額と額を付ける。
カレンも泣き出す。
「ごめん、俺には、そんな事言う権利ないんだよ」
瑛子は、カレンにキスをする。
「なら、"待ってて"って言ってよ」
でもっと言うカレンに、ね?っと笑いかける。



出港した人のまばらになった空港に、一人瑛子が立っていた。
チケットを手に持ったまま。



end...
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