書物

□僕のせいで明日君が死んだ
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同窓会に選ばれた店はおしゃれなバーで貸切だった為、早めに着ていたメンバーは賑やかに話をしていた。
「キイラ。」
店に入るなり、部長を勤めていた男がキイラの首根っこに腕を回す。重いっとつぶやきながら、店内を見回すがナナ先輩の姿はなく、微かにため息を吐く。
「ナナ先輩は?」
友人が、気を利かせてかメンバーに聞くと、遅れてると言う。せっかちなメンバーは、ナナ先輩を待たずに同窓会を始めた。始まってすぐに、たくさん並んだ料理を目の前にしてキイラが目移りをしていると、ドアが開く。
「ナナ先輩!!」
キイラは、柄にもなく、バクバクと早い鼓動を必死に隠して振り返った。
「あーあんた。」
ナナ先輩と呼ばれる先に居たのは、先程駅で出会った女性だった。ナナ先輩と呼ばれた人物は、自分を指差すキイラを見つめて、笑う。
「やっぱり、さっきのキィちゃんだったかぁ。」
ケロッと話す、ナナ先輩にキイラはイライラしく、その呼び方は止めて下さいと言う。そうだ、忘れていたんだ、ナナ先輩は部活に居るときから、自分をからかい楽しんでいたと言う事を今になり思い出した。人の思い出は恐ろしいなっと思いながら、コップに入ったビールを煽る。
「キィちゃん。」
「や・め・て・く・だ・さ・い。」
冷たく言いながら、料理を取りに移動すると、ナナ先輩は、待ってっといいながら後を追う。
「さっきのは謝るわ。でも一瞬分からなかったのは本当よ?キィちゃんあんまりにもかっこよくなってたから。」
頬を赤らめて話すナナ先輩に、キイラも顔を赤くしてドキドキしていると、ナナ先輩は、チラッとキイラを見上げる。
「う、そ。」
ナナ先輩からの言葉にキイラは一度きょとんとした後に、イライラして震える。
「キィちゃん?」
いちいち勘に触るなと思いながら、久しぶりに会う友人との話に花を咲かせた。しかし、悔しくも、チラチラと視線はナナ先輩に向かっていた。
「キィちゃんたら、そんなに見つめたら照れちゃうわ。」
ナナ先輩は体をクネクネしながら照れてるフリをする。キイラはそんなナナ先輩を見ながら、きっとこの人に悩みなんてないんだろうなと思った。
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