書物

□僕のせいで明日君が死んだ
4ページ/7ページ

朝日がカーテンの隙間から差し込み、眩しさで目が覚めた。虚ろな思考回路の中で、パジャマを見る、どうやら無意識に、帰宅して着替えて寝たのかと理解する。時計はまだ八時だ、もう少し寝ようと寝返りを打つと目の前には、ナナ先輩が気持ちよさそうに寝ていた。
「…っ!?」
驚いて飛び起きると、ナナ先輩はどこから探したのか自分のシャツだけ着た姿だった。微かに開いた胸元に視線が行きかけると、寒いのだろうか、自分から布団を奪い再び眠る。
「ちょっと、ナナ先輩、起きてくださいよ。なんでアンタがここに寝て…」
言いかけると、ナナ先輩は、ゆっくり起き上がり、自分に近付いてくる。ナナ先輩が鼻先が触れそうな距離に来ると酒臭さに嫌な顔になる。
「ごじゃごじゃうるさいと、その口ふさぐわよ」
しかし、唇が触れそうな距離までくると、胸ドキドキし息が上手く出来ずに激しく動揺した。残り約六ミリ程になると、ナナ先輩は慌ててトイレに向かった。キイラは、放心状態のまま、トイレの場所もなんで分かるんだ?っと考えていると。
「良かった、キイちゃんと私の部屋な間取りが一緒で。」
ナナ先輩が青ざめた顔で戻って来た。
「まぁ一緒だよね、だって私、部屋向かいの棟の同じ番号の部屋にいるんだもん。」
キイラは、きょとんとした顔でナナ先輩と、窓から見える隣の棟を見る。
「え?えええ!?」
驚いて一気に眠気が飛ぶ。
「うるさいわね。なによ?」
ナナ先輩はまだ眠いのか再びベッドに戻って来ると横になる。引っ越して来てから、あまり地域の活動に参加していなかった為気付かなかったのだろうか。状況把握が中々出来ないキイラに向かい、ナナ先輩は、十一時に起こしてなどと言って眠りに着く。
もうすでに眠気などなくなり、起きて顔を洗うと携帯を見た。友人からは、頑張れっと励ましのメールが着ていたが、無視をした。
十一時に起こしてと言う願い通りに起こすが、ナナ先輩は起きる気配はない。
「起きてく…」
言いかけると、ナナ先輩は、いきなりキイラの首にしがみついてキスをした。
「好きよ……ヒロ」
ナナ先輩は小さく呟くと再び眠ってしまった。キイラは、座り込み、うなだれる。間違がわれてキスって、っと思考がグルグルした。自分のファーストキスを間違えで無意識に奪ったナナ先輩を見て、改めて目の前の女は自分勝手な女だと思った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ