書物

□僕のせいで明日君が死んだ
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人通りの多い商店街の中をすり抜けて、民間が並ぶ街並みに出る。夕方になり、冷え込みを感じて、身震いをする。白いアパートの一階、一番端のドアに鍵をあけて中に入るなり溜め息が出る。
「またか…。」
冷蔵庫意外の家具がない部屋は見方によっては綺麗とも言えるが、今は殺風景にか感じれなかった。商店街で買った物をひとまず、冷蔵庫に詰め込み、電気、ガス、水道が使えるかを確認する。日課になっていた。
「ただいま。」
しばらくはすると、家の持ち主が帰宅し、部屋の鍵が開いていた事に驚く気配もなく、部屋の中の人物に声をかける。
「説明してくれますよね。優(まさる)さん?」
俯いたまま言うと、家の持ち主は、ひくついた笑顔を向ける。
「ナイハさん、とりあえず聞いてくれよ、あのな、家の中をイメチェンしたかったからなんだよ。」
しどろもどろに言う優に、ナイハはイライラしく、冷蔵庫を叩く。
「イメージチェンジは個々にやればいいんじゃない?正直に言って。」
優は、怒らないかを確認してからゆっくり口を開く。
「パチンコで負けて。」
それを聞くなりナイハからは溜め息がでた。
「そのうち家なくすわよ?そうなっても私は知らないからね。」
ふいっと首をそらすと優はナイハにすがりついた。
「そんなに心配?」
優がニヤリと笑いながら覗き込んでキスをする。ナイハは、ぴくりと動いて、そんな事ないっと言いながらゆっくり押し倒される。
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