緋月宮の女官〜春告げ鳥の唄〜

□終章
3ページ/12ページ


曦曄が頭を下げた。

「どうか緋月宮の、しいては宮中の士気を高める為とお思いになって、目をつぶって下さりませんか」



「うむ」



「あの……」


躊躇いがちな大聖母の声に、皆が集中する。

「その、おややはどうするつもりなのでしょう。緋月宮で育てるのですか?私は孫の顔を見るのを、それは楽しみにしているのですが」

「それは、私もだよ」

前大陽創神が賛同する。

おやや、孫という単語に陶嘉が思わず顔を赤らめる。

曦曄は、それを微笑ましく見守った。

「必ずや、度々この幽玄宮と緋月宮を往来する事をお約束致しましょう。父上、母君」

曦曄は二人に向かって平伏した。

「陶嘉どの、曦曄と朧朏、そしてゆくゆくは孫たちを宜しく頼む」

「必ず、度々遊びに来て下さいね」

曦曄と朧朏、それに陶嘉は互いに顔を見合わせた。

「二人の結婚を許可する。直ちに、婚礼に良き日を占わせるように。いや、此方から手配しよう」



三人は深々と、平伏したのだった。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ