気まぐれな彼女

□気まぐれな彼女3
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教室に到着するとすぐに、璃乃の友人の、沢村真記子がすっとんできた。

「リノ、今日学校に来た?」

氷室が、首を振る。

「やっぱり、何かあったのか?」
しばらくの間真記子は黙っていたが、

「氷室君なら、教えても大丈夫かな…」と言う。


沢村は、俺達が近所付き合いをしているのを知っている。

「マキコは信用できるから」と以前、吉田が言っていた。


「転送してもらったんだけど、これがリノの所へ送られてきたらしいの。」




『君にあの男は似合わない。付き合っていないならオレと付き合って欲しい』

そしてその後に…『愛してる』の4文字の羅列。



「2件目、これは今朝送られてきたんだって」



『あの男と一緒に登校するな。したら奴を殺す。これは本気だ。好きだ好きだ好きだ………』




「ばっかじゃねーの、こんなの信じ込んで」

と言うと、真記子がカッとなって反論した。

「氷室君だって女の子だったら、気持ち悪いって思うよ!」

「いや、俺も十分気持ち悪いって思うけど、吉田がこんな物に左右されると思ってなかったから…」

別に俺が嫌われてた訳じゃないんだな。

そう思うとホッとしたが…。

「なあ、俺と吉田って付き合ってるって噂なんじゃねーの?」

そこなのよね、と真記子が呟く。

「二人が付き合ってない事を知ってるのって、リノの周りでは私とキヌとミホぐらいだし…」

一緒に登校する朝を見計らって、この二通目のメールを送ったって訳か。

「1件目と2件目の、アドレスが違うの。幾つかパソコンのメアドを持ってるみたい」

「すぐに1件目のやつを、拒否にしたんだな?」

「多分そうだと思う」

「『ドメイン指定にしろ』ってメールしてみて。

分かった、と真記子が璃乃にメールを打ったのだった。



その日の授業は、何だか時間が過ぎるのが物凄く遅く感じたし、彼女の事が心配で授業も何だか上の空だった。

授業後、帰る仕度をしていると沢村が、

「氷室君、私今日一緒にリノんち行ってもいいかな」

と言って来た。

「その方が良いな、多分」
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