気まぐれな彼女

□気まぐれな彼女
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…一人きりの春休みは、何て詰まらないのだろう。

彼女は吉田璃乃。

4月から苦労して入った某大学付属高校の2年生になる。

何故一人なのかというと…去年から両親と、弟が仕事の都合でシンガポールへ行ってしまっているのだ。

せっかく合格した高校だし、ここは日本に残ろう、というわけなのだが…暇だ。

これだけ暇だと彼女は馬鹿げた妄想に浸り始める。

今は、この前買った宝くじの事に心を馳せているのだ。

毎回一枚しか買わない。

それなのに一億五千万が当たらないかだとか、当たったら何をして暮らそう、これで働かなくてもよくなるに違いない、などとだらけた事を考えていたその時。


――ピンポーン――


チャイムが鳴った。


しょうがないなあ、などと呟きながらインターホンの受話器を取る。


「はい」

「…隣に越してきた氷室と申す者ですが」

「あーはい、ちょっとお待ち下さい」

うちはマンションだし、近所付き合いは大切にせにゃ。

急いでドアを開けた瞬間、璃乃は驚いて大きな瞳をぱちくりとさせた。


――若い!――
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