気まぐれな彼女

□気まぐれな彼女5
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新学期が始まって一週間した頃、ある朝登校するとクラスの皆の視線が一斉に明に向けられた。

「………?」

不思議に思いながらも席に着く。

皆、ひそひそと何かを話している。

俺の噂話か?

岡野と、沢村真記子が明の元まですっ飛んできた。

「おい、やばいぞ」

「何が?」


「お前と吉田さんが同棲してるんじゃないかって噂になってる」



「はあ〜?」


「まあ、家が隣同士だし夕飯まで一緒に食ってるんじゃ、噂されるのも無理ないかもしんないけど…」


沢村が妙にソワソワとしている。

璃乃が心配なのだろう。

それは、自分も同じだった。

だがHRまでもう時間が無い。

「何でそんなのが、今更噂になったんだ?」

「何でも、お前と吉田さんが夕飯の相談しながらスーパーで買い物してるのを見た奴が居るんだと」

「そりゃまずいな…」

後ろ暗い所など全然無かったが、ここに居るクラスメイト全員に弁解する訳にもいかない。

まあ、人の噂も75日。

何とかなるだろう。

…とは思いつつも、璃乃にメールを打った。


『何か俺達が同棲してるって噂が立ってるみたいだけど、そっちもそうなのか?』

『うん、そうみたい…。』

朝のHRが終わると、真記子が

「行って来るね。氷室君は行かない方が良いと思う」

と言って、A組に走って行った。




「どうだった?」

戻って来た真記子の様子を見て、あっちでも噂が広まっている事が分かった。

「璃乃の様子は?」



「うん、ちょっと元気がなかったかな…」
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