気まぐれな彼女
□気まぐれな彼女6
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1年の西田恵里奈という女子が璃乃に陰湿な嫌がらせをしていた事、そして明と璃乃2人が同棲しているというデマを流したのは彼女だという噂が、あっという間に高校中に広まった。
璃乃と明は相変わらず学校での視線が痛かったが、それも前とは違って同情を含んでいるものだったので、まあ良しとしよう、という事になった。
璃乃は、果たして彼女がそれ位で引き下がるかどうか少し心配していたのだが、学校中に噂が広まってしまった事が痛かったのだろう。
問題の西田恵里奈だが、都立に転校するという噂だった。
「ああいう子も居るんだね」
「何だ、西田とか言う女の事か?」
「そう」
「世の中、色んな種類の人間が居るからな」
「…ごめんな。すぐに気付いてやれなくて」
「ううん、あんな綺麗な子に『絶対に付き合わない』なんて言ってくれて嬉しかったよ」
「そんな事ぐらいで嬉しがんな!」
明がいきなりぷりぷりし始めたので、璃乃が不思議そうな顔をする。
「っていうか、正直、言ってくれなかったのがすっげーショックだった。俺って、そんなに頼りがいが無いわけ?」
璃乃があっ、と小さく叫んだ。
「ごめん。そういうつもりじゃないの。この前は私のせいで明にまで嫌な思いさせちゃったし、自分だけで解決したかったの」
「あーいうのは愉快犯だから、どんどんエスカレートしていくんだよ。早めに叩いちまった方がいいの。なのにお前一人でって、何か考えてあったわけ?」
「えっ、別に特に…えへへ」
……こういう女だった。
「お前ってすっげータフなのか、それとも鈍感なだけなのか…」
その言葉に璃乃がムッとする。
でもまあ、明とつきあってていちいちムッとしていてもきりがないか……。
はぁ。
「何だよ、今の溜め息は」
「イエ。なんでもありません」
「この生姜焼き美味いな」
「えっそう?じゃあ簡単だから今度明に作ってもらおうっと」
この女は……。