気まぐれな彼女
□気まぐれな彼女
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その人は璃乃が想像していたよりも遥かに若く、自分と同じ年ぐらいに思えた。
子供だけ挨拶に来たのだろうか?いや、普通は親も来るだろう…。
「はじめまして、氷室と申します。宜しくお願いします」
落ち着いた物腰だ。
「吉田です。こちらこそ宜しくお願いします。…貴方お一人じゃあ大変でしょう?お手伝いしましょうか」
これは、探りを入れたのだ。
「いえ、荷物もほとんど片付きましたし…有り難うございます」
否定しない!?
っつーことは、この広いマンションに一人暮らしか。まだ若いのにねえ。
自分の事を置いておいて、何を思うのだろう。
さて、入学式も兼ねての始業式である。
I大付属の体育館では、バーコード頭の校長がうだうだと長話をしていた。
「エ〜と言うわけで、皆さん常に学ぶ心を忘れずに…」
あー学ぶ心だあぁ?
眠くて仕方がない璃乃は、無意識の内に頭がカクッカクッとなる。
はっ、いかんいかん。
新学期からこんなでは…と慌てて顔を上げると皆さん、他の生徒もカクッカクッとなっていた。