気まぐれな彼女
□気まぐれな彼女6
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毎週ある視聴覚委員会で、珍しく真記子が来てこちらを覗いている。
『マキコ!』
と唇で形を作って手を振る。
だが、真記子は気付くことなく、壇上の人物をじっと見つめていた。
其処に居るのは…菅野先輩。
えっ、ちょっと待ってよ?
確かに、真記子には好きな人が居るらしいことは聞いていた。
そして、相手は年上だという事も。
璃乃がどんな人かと聞いたら、
「優しい人。凄くね。でも、その人には好きな人が居るから、今は自分を磨いてるんだ。卒業までには告白しなくっちゃなあ……」
と言っていた。
ずっと前だけど確か、マキコって私に
「菅野先輩なんて、リノにぞっこんじゃん」
とか言ってなかったっけ。
…もしかして、マキコの好きな人って、菅野先輩!?
委員会が終わった後に、明がやって来た。
真記子の姿は、もう無かった。
「どーした。ぼーっとして。いつもの事だけど」
「明、私…鈍感すぎて、大切な人を今まですごく傷つけちゃったかもしれない」
涙目になった璃乃が急にそんな事を言って明を見つめるものだから、思わず
「何、俺の事?」
と明は自分を指差す。
「バカ!!」
ぷんぷんと怒って、勝手に超!早歩きを始めた為、明は又、怒らせたか…とこっそり溜め息を吐いて後を追いかけた。
そんな2人を遠巻きに見つめていた人物が、苦しげに、笑っていた。
菅野だった。
マキコの好きな人…まさかこんなに近くに居るなんて、考えた事も無かった。
どうしよう。菅野先輩から告白された時、確かマキコに相談しちゃったんだよね。
あーっ、私って、何て無神経な女なんだろう。
頭をぐしゃぐしゃとやると、明が
「どーでも良いけどお前、料理中にテンパるのやめてくんない?変な料理食って被害被りたくない」
と言った。
「明日、どっかいこうぜ」
鰆の粕漬けを口に運びながら、明が言う。
I附は、週5日制である。明日は土曜日。
「う〜ん、映画はこの前もいったしなあ。…そうだ!遊園地行きたい」
「遊園地ぃ?」
明が目を丸くして思わず聞き返す。
「そ。明、遊園地行こう」