緋月宮の女官〜春告げ鳥の唄〜

□終章
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「罪作りな女子よのう」

彼女から注がれる視線が、ちくちくと痛かった。

自分がどう言われようと、別に構わない。

だが大切な主人である朧朏が、このようにいじられるのは我慢が出来なかった。


「恐れながら」


言葉を紡ぎだそうとしている陶嘉に、曦曄がぎょっとして視線を送る。

あれ程黙っている様、指示したと言うのに。

それを無視した陶嘉が言う。


「この案は、実は私めが提案したことでございます。勝手な申し出、大変申し訳ございません。ですが前大月女創神様。貴女様が一番、大月女創神様である朧朏様の御心境を、御理解になることが出来るのではないでしょうか」


ほっほっ、と甲高い笑い声が部屋に響き渡る。


「確かに、単なる普通の女官とは違うようじゃな。曦曄、朧朏。左様、あの頃は毎日が憂鬱で仕方がなかった。だが、朧朏だけがそれを免れるのは、気に食わぬ」


曦曄がすかさず口を挟む。

「伯母上、此処に居る三人で何度も語り合いの場を設けました。果たして、緋月宮はこのままで良いのだろうかと」

「して?」

朧朏が、やっとの事で、重たい口を開いた。



「伯母上、御存じか。蒼陽宮の女官は緋月宮を『婆の巣窟』と呼んで馬鹿にしている。これは当の緋月宮側にしてみれば、大変矜持を傷つけられる問題だろう」



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