今吉×青峰

□俺とお前の距離
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「のうー、青峰」

「何だよ」

「一つだけ、聞いてもええか?」

「一つだけならな」

「おおきに」

俺は久しぶりに練習に出た。
何ヶ月ぶりだったか、体育館で汗を流す。

土曜日だってのに学校に来んのは面倒だったが、今日はなんでだろうな、気が向いた。

休憩中に外の水道の近くに座り込んでると、腹黒眼鏡が汗を拭きながら寄って来た。

「お前、好きな食べ物ってなんや?」

「は?」

「せやから、好きな食べ物や」

「……肉だ」

こいつは、いつでも薄く笑ってる。相変わらず何考えてんだか分かんねーやつだ。

「肉かー。牛?豚?」

「はー?何だよ。牛だよ、ぎゅー」

「お、2つ答えてくれたな。ほんまおおきに」

「で?答えたら何かくれんの?」

「俺とお前の信頼が深まったやーん」

「……」

汗を拭きながら、こいつはヘラッと笑った。

「ふざけんなよ。つか今のでどうやったら信頼が深まるんだよ」

訳が分からねぇ。
つか俺、ムダに干渉されんの好きじゃねえし。

「会話するとな、お互いの信頼関係ってゆーか、絆が深くなるんや」

「俺たちに信頼関係は必要ねえだろ。何だよ、寝ぼけてんのか?」

俺はやつと目を合わせずにスポーツドリンクを飲んだ。
部室にあるクーラーボックスに入れてたから、すげえ冷たい。

「確かに、プレイ中はそうやな。せやけど俺一応キャプテンやし、お前のことも多少は知っておきたいねん」

はっ、面倒くせぇな、そういうの。
ゲームの外だろうが中だろうが、他人と馴れ合う気なんかさらさらねぇよ。


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