クモたち+α
□もう少しで、大好き
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突然、恐ろしい孤独感に襲われることがある。それは一人でいても、恋人がいても。
別に「私は独りだ」なんて思っているわけじゃないけど、寂しさから来る孤独感かもと感じてる。
こうしてクリスマス前、街や人々が盛り上がっている時なんて特にそうだ。
私だけついていけてないんだ。
「そう……まだ会えないんだ」
遠方先のシャルとの電話は、日を増すごとに私のせいで暗いものになっていた。
『ごめんね、来週にはそっち帰るから』
「ん、分かった」
だいたい電話はこれでおしまい。いつ帰ってくるのかを話して終わりだ。
可愛くない女。お疲れ様、頑張って、くらい言えればいいのに。
『――あ、名無しさん』
電源ボタンを押すタイミングとシャルの声が重なってしまった。焦るものの、重要なことならまたかけてくるだろうと、私は携帯をソファーにポンと投げた。
こんなうつろな状態じゃ、シャルも電話しててつまらないだろう。
ベッドにダイブして今年最大のため息を吐く。枕に顔を埋めたあと、化粧をしていたことに気づき顔を離せば、ファンデーションや口紅などが枕に付いてしまっていた。
「あーもう!」
イライラして枕を叩きながら付いてしまった化粧を落とそうとした。でもそんなので取れるわけもなく、明日枕カバーを洗濯すればいいやと思う。
するとソファーに投げた携帯が鳴った。
ソノソノとベッドから立ち上がりディスプレイには『シャルナーク』の文字。
「…は〜い、どうしたの?」
気だるい声は仕事で疲れてるシャルには良くないと思っても、どうにもできない私はやっぱり子供なんだろう。
『あ、さっき言おうと思ったんだけど……』
「何?」
ソファーにドカッと座り、足を組む。腕は肘掛けへと乗り、恰好だけはどこかの偉そうな社長さんのようだ。