クモたち+α

□万年平社員
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それはアジトで起こった。次の仕事の概要が決まると、ある少女がシャルナークにぽつりと言う。

「ねぇ、シャルはいつになったら‘団長’に昇格するの?」


「……えっ」

時間差でシャルナークが隣に座っている名無しさんに困惑ぎみの顔を向けた。

「いつなの?」

「……」

何と答えていいのやら戸惑っていても名無しさんは答えを急かしているようで、名無しさんは首を傾げシャルナークを見つめる。

その場にいた他の団員たちも、名無しさんがいきなり放った言葉に呆然としていた。


「ねぇってばぁ〜」

「い、いきなりどうしたの?」

「昨日昼ドラで、主婦の人たちが『うちなんて万年平社員よ〜、まったくいつになったら部長に昇格するのかしら』って言ってた!だからシャルはどぅなのかなぁって」

名無しさんの言うことが支離滅裂に聞こえるのはいつものこと。なるほど、という顔つきをしている団員もいれば、笑いを堪えている団員もいた。

「…なるほどね。だけど昇格とかはないと思うな。位としては『団長』と『団員』だけで…」

そこまで言うと名無しさんの異変に気づく。明らかに表情が怒っていた。

「いつ団長に昇格するかって聞いてるの!」

そこは怒るとこなのかと突っ込みたいところだが、名無しさんを怒らせると後が面倒なのはみんな百も承知だ。誰も何も言うことはできなかった。


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