ノブナガ

□愛のない部屋
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ギシギシと鳴る天井は、今日も俺の部屋に響く。
今夜も始まったのかと思えばそれは数十分続き、時間を空けて再開することもある。

「……チッ……」

その不快な音は俺が今寝ているベッドの真上からする。ベッドの位置を変えようとも思ったが面倒だし、気に入らないんだが動こうとはしないんだ。

俺は目を瞑り、ひたすら鳴る天井の音を聞く。


最近は毎夜毎夜こんな感じで寝不足なんだ。音が止まったとしても何事もなかったかのように静寂が宿り、俺をさらに虚しくさせる。

苛々は募るばかりだが耳を塞ぐことはしない。ただ目を瞑って死んだようにその音を聞くだけ。

「……今日はいつもより激しいな」

いつかは壊れちまうんじゃねえかって思うくらい、ギシギシ、ギシギシいってる。

この音の根本になっているもの、それは名無しさんと団長。

二人は何ヶ月か前から付き合ってるとかで、名無しさんにも個室は与えられてるもののそこは女と男、夜も別々でなんて話にはならないだろう。
夜になればだいたい名無しさんが団長の部屋に行って朝まで過ごす。さすがに昼間からはイチャつけないだろうし、他の団員たちの目もあるからな。


それにしても、団長なら他にいくらでも女は作れるだろうなっていつも思う。
よりによって、なんで相手が名無しさんなんだ。


名無しさんは体は小さいのに体力はすげえあって、頭もキレる。
普通の女みたくカラオケとか買い物が好きで、普通の女みたく腕相撲は弱い。ちなみに腕相撲は名無しさんが両手を使っても、俺の左手すら動かすことはできない。
名無しさんは本当に良く笑うし、表情なんてコロコロ変わる。

そう、俺はそんな名無しさんが好き。好きなんだよ。


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