ノブナガ
□俺だけが知ってるベッドの中のお前
1ページ/6ページ
「あーもー分かれよこのバカ!!」
「分かんないよ!みんな友達っ!みんないい子なの!」
「だからそいつらは友達の前に男だろうがっ!」
「男でも友達は友達だもんっ、あんた脳みそ腐ってるんじゃないの!?」
「あんだとこの野郎!!ぶっ殺すぞ!!」
名無しさんを怒鳴りつけて1時間、そして名無しさんに怒鳴りつけられて1時間が経つ。
こいつが最近よくどっかに遊びに行ってるみたいだから、誰とどこに行ってるか聞いたら「男友達とドライブ」ってあっさり答えやがった。んで俺が男なんかともう行くなって言ったら、名無しさんの言い分はこうだった。
『友達に男女の差はない、女友達でバイクとか車も持ってる子いない』
マジざけんなよ。後半はまあ分かるが、遊びに行く時間帯は夜だぞ夜。明らかにやましい時間帯じゃねえか。
おかしいとは思ってたんだよ。
前までは女友達と遊びに行くとぷりくら撮ってきたり、その日の話を聞かされたりしていた。
だが最近はそれもなくて、「ただいま〜楽しかった〜」の一言だった。
こいつに限ってそんなことはないだろう、浮気―――。今はそれすら俺の脳裏を横切る。例え名無しさんに友達以外の感情がなくても、男共はどう思ってるか分かんねえし。
それをさっきから言ってるのにこいつは俺に逆ギレしてくるんだ。
「いいか。もういっぺんそいつらと遊び行ってみろ。マジでぶっ殺すかんな」
「はあ!?だからなんでそんなこと言われないといけないの!?てかもう行く時間なんだけど」
「ああん!?ああもうダメ。お前本気でダメ!」
俺は部屋の鍵と、部屋中の窓を閉めた。
「…ちょっと、何してんの…」
「この部屋から出さねえ」
「はああ!?」
「ぜってえ出さねえからな」
名無しさんは呆れ顔に加え眉を中心に寄せるとドアに向かい、部屋の外へ出ようとした。ズカズカと歩いていく名無しさんの背中は無言で、明らかに怒っていた。