ノブナガ

□寝覚月
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「……だってよ、……だろ……」

「は?何?」

私は大げさに耳を彼の方に傾ける。

なんでだろう。私も気が立っているのか、ノブナガに優しくしたいのに冷たくしてしまう。

決して煽ってるわけでも、彼の心情を軽視してるわけでもない。

「言い返す余地がねえだろっての!」

「ああ。そうだね」

私があっさり言うとノブナガはさらに不満そうに舌打ちをする。

「ノブナガの気持ちは分かるよ。みんなだってあんな占いが出なきゃ鎖野郎を探して八つ裂きにしてただろうし。私だって……」

「……そんな風にゃ見えなかったけどな」

「ちょっ……そんなこと言う!?みんなのこと信じてないの!?」

思わず体が前のめりになった。

「みんなウボォーの仇取りたいに決まってるじゃん!みんな表に出さないだけ。分かるでしょ!?」

「へっ、分かんねえなっ。そう思ってんの、お前だけかも知れねーぜ」

「はあ!?ケンカ売ってんの!?どういうこと!?」

思わず私もムキになってしまう。いくらノブナガだって、そんな言葉聞きたくない。

「別に深い意味なんてねーよ?ただそう思っただけだ」

「……あんたねっ」

「どーせ俺らは特攻の捨て石だよ。シャルの言った通り、代わりはいくらだってきく。みなさんお仕事熱心だしー?俺みたく私情持ち込ま――」

私の頭の中の何かが、ブチっと音を立てた。

傘の柄をぎゅっと握る。



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