ノブナガ

□寝覚月
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「こんの……くそヒゲ野郎!!!」

持っていた傘を一瞬でたたみ、思い切り念を込めてノブナガの背中に向かってフルスイングした。

風がブワッと起こり、辺りに雨水が弾け飛ぶ。

「ぬわっ!?……てめっ、何っ――!」

「なんでそんな事言うの!?ノブナガのバカ!」

何度もノブナガに向かって傘を振り下ろす。風と雨が混ざり、お互いびしょ濡れだけ。

「やめろっ!くっ……」

「自分だけが悔しいと思わないでよっ!みんなも、私も!悔しいんだよ、ウボォーのところに行ってやりたいんだよっ!」

初めは、雨で視界が悪いのかと思った。
だけどこれは雨なんかじゃない。

気がつくと私は泣いていた。

「みんなが心配してないみたいに言うな!!バカっ!!」

「わ、分ーったよ、分かったからやめろって……!」

ノブナガも必死で自分のたたんだ傘でガードする。
お互い強化系のせいか、ぶつかり合いが凄まじくて周りの土や建物が吹っ飛んでいた。

「……悔しいのは、辛いのは、ノブナガだけじゃないんだよ…………」


一通り泣き叫んで傘を振り回した後、私は小さく言った。
雨がひどいせいで、自分の声もろくに聞き取ることが出来なかった。

何だか一気に疲れてしまった。
ここまでやって、やっと分かった。

私自身もすごく辛かったのだ。


自分の気持ちを上手く整理することができず、ノブナガのフォローもしようなんて私にはそんな器量はなかったのだ。



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