ノブナガ
□寝覚月
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私たちの足元は地面の土が掘れて、雨水が溜まっていた。
そこに力無く私が持っていた傘がパシャンッ、と落ちる。
「んっ……うっ……」
まるで子どものように泣き出す私。
ノブナガを慰めようとしてここにいるのに、私は一体何をしに来たんだろう。
何のためにここにいるんだろう。
俯いて鼻をすすっていると、ノブナガがボロボロになった傘を放り投げたのが分かった。
「……悪かったよ」
そう言われるのと同時に、体がふわっと温かいものに包まれた。
香ったのは、いつも感じているノブナガの匂いだった。
「そうだよな。俺だけじゃ、ねぇんだよな……。わり、何か許せなかった……あいつらがそんなやつじゃねえことくらい、分かってるよ。そうだよな、俺だけが突っ走っちまった」
「うっ……」
「今は大人しくしてるよ。その後のことはゆっくり考える」
「んっ、うんっ……」
「お前がそんな泣いてどーすんだよ」
ノブナガに呆れられてしまった。
本当は私が慰めてあげたかったはずなのに、おかしいな。
頭を優しく撫でられる。
甘えちゃいけないはずなのに、どうしようもなく甘えたくて、すがりたい。
すっかり立場が逆転してしまっていた。