クモたち+α
□万年平社員
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名無しさんがアジトから出て行ったことを確認すると、シャルナークは壮大なため息をついた。
「俺…これから名無しさんと付き合っていく自信ない」
そんなシャルナークを気の毒そうに見る団員達。そして面白がっている団員少数名、名前を挙げるならウボォー、ノブナガ、フィンクス、マチだ。
「ありゃ遠回しにお前の事をカッコ悪いって言ってんな〜」
「安月給でカッコ悪いんじゃダメだよな」
ノブナガの後に追い討ちをかけるようにしてフィンクスが言う。
「うるさいなぁ、顔は関係ないだろ?」
名無しさんとは対象的で機嫌の悪くなったシャルナークは元凶の名無しさんにあたることはできず、からかってきたノブナガに怒りを巻き散らす。
「金は余裕ある。それに団長と比べたら誰だってカッコ悪く見えるよ!」
「ま、そりゃそうだな」
「……やっぱり女の子って、そういうの気にするのかな」
背中を丸め落ち込むシャルナークに、不憫な思いをして見ていたパクノダは優しく慰める。
「そんなことないわ。名無しさんだって悪気があって言ったわけじゃないと思う。…たぶん」
シャルナークはパクノダが言った言葉の語尾を聞き漏らすことなく、しかしそれに触れることはせずに話を進めた。
「俺さ、たまに名無しさんが何考えてるのか分からなくて不安になるときがある」
「じゃあ俺が変わってやろうか?」
ニヤリ、と笑いウボォーギンがシャルナークに笑いかける。シャルナークの機嫌が一層悪くなった瞬間だった。
「その冗談、笑えないんだけど」
口は笑っているが目は明らかに据わっているシャルナークに、ウボォーギンはシャレの通じねぇヤツと呟いた。