クモたち+α
□万年平社員
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「う〜ん…。昇格しないと思うよ?団長が死んじゃったら別だけど」
「え〜。他にシャルが団長になる方法はないのぉ?」
さらに足をばたつかせ、シャルナークに問う。話にこだわりを見せる名無しさんに、シャルナークは当然の如く疑問を持った。
「ま、待って。なんでそんなに気になるの?」
「さっきの主婦さんが『そうすれば給料も上がるし少しは男前に見えるかも』って」
無邪気な笑顔で聞いてくる名無しさんの言葉に傷つく。
言った張本人は何の悪びれもないようだ。
「…俺って安月給で格好悪いの?」
思わず口に出てしまうも、名無しさんには聞こえていない。
シャルナークはクロロに目線だけで助けを求めた。
「名無しさん。シャルは主に情報収集を得意としている。指示を出す役は、この中では俺が適任だと思うが?」
「じゃあシャルは団長には向いてないってこと?」
声を少し下げ名無しさんはどことなく悲しげに言う。シャルナークはというと、先の名無しさんの言葉が尾を引いたのか頭を垂れていた。
「まぁそういうことになるな」
「ふ〜ん、そっかぁ。…あ!クロロは顔がイイから団長になったんじゃないよね?」
身を乗り出し確認するかのように言う。クロロはクスッと笑い違うよ、と優しく答えた。
「顔じゃないって、シャル!もしかしたら何かの手違いで団長になれるかも」
ニッコリと花のような笑顔で微笑みかけてくる名無しさんに、さらにショックを受けるシャルナーク。彼の肩にはポンッとフランクリンの手が置かれた。
「でも…俺は団長になりたいとかは思ってないからさ…」
ぽつりというもなぜか機嫌が良くなった名無しさんは立ち上がり、アイス買ってくる!と言い残すとアジトを出て行ってしまった。