クモたち+α

□内緒だよ。
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「これか?どこだったかな。どこかの店だった気がする」

それじゃ参考にもならないよ、そう心の中でそう思いながら、多少仕事とオフの時ではギャップがある団長に苦笑いをする。別に教えてくれなかったから苦笑いしたんじゃない。そんな団長もいいなって思っちゃったんだ。

俺だけ何もない気がする。そりゃ一応全員A級賞金首の旅団の情報処理担当ではあるけど、別に自分ですごいことだなんて思ってない。まあ、ちょっと落ち込んでるから人のいいとこばかりが目につくのかもしれない。

でも、それでも俺には何もない気がする。前に名無しさんに髪の毛がサラサラだって褒められたけど、俺のこと褒めてくれるならどうして傍にいてくれない?どうして名無しさんは別の男の隣にいるの?

ねえ、名無しさん。

「お前は」

「……?」

団長がポンッと言葉を出した。

「いつも積極的に仕事に参加してくれるから、助かるよ」

「……え」

俺はポケっと真顔で話す団長を見た。その顔は相変わらず整っていて、肌なんかも綺麗だった。深い闇のような、でも強くて真っ直ぐな瞳が俺を捉える。

「パクは化粧品を探す旅に出たし、シズクはどこまで行ったんだか眼鏡を変えると行ったきり戻って来ない」

「……」

「名無しさんなんてずっとあんな状態だろう?」

フッと目を瞑ると団長は、今度は優しい目で俺を見た。
結局団長が何を言いたかったのか、それだけ言うと広間を出て行ってしまった。

「…………」

団長は、俺の気持ちを知っていたのだろうか。いや、でも団長がプライベートに首を突っ込んでくることなんてほとんどない。俺は瞬きをパチパチと何回かすると、再び名無しさんたちに視線を向けた。


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