Novel 〜vinegar mean〜
□02.―始動―
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「………………」
「………………;;」
「………………」
部屋の中は、とても息苦しい空気で包まれていた
「…………………………」
「……………………;;」
「………………ねぇ、なんでもいいから喋ってよ」
しかし当の本人、黒澤は気付いていないのか、手元の資料から目を離さない
どうしたらいいかわからない河野は、ただオロオロしているだけ
そして非常に眠そう
「はぁ………河野君」
「は、はいぃ!!?!」
「コーヒー、買ってきてくれる?」
「わ、わわかりましたぁっ!?!!?」
河野は逃れるかのように、急いで部屋を出て行った
行き際にお茶も追加して言ったが、聞こえたか怪しい
「……………………」
「……………………」
「………………………………」
「ちょっと、ゲンさん……………」
「………………………」
すると今まで壁に寄りかかっていた霧崎が、資料に食い付いている黒澤の横に立ち、資料を取り上げた
やっと気が付いたのか、黒澤は機嫌悪そうに霧崎の方を見上げる
その顔はどこか瞼が重たそう
「なんだぁ?」
「さっきから呼んでいるの?気がつかなかった?」
「呼んでたかぁ?」
「やっぱりね………」
霧崎は資料を戻すと、パイプ椅子に腰かけた
あの無機質がひずんだ音が静かに響く
黒澤もあくびを一つすると、タバコを取り出して火を付けた