ねがいぼし

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「うわあああーん!」


朝から空の大きな泣き声が万事屋に響き渡る。


「空ちゃん、こっちにおいでよ」


トイレの前で泣き叫ぶ空に新八が呆れたように声をかけた。


「ぎ、ぎんちゃー!」


トイレのドアをドンドン叩くと、ガチャリと鍵が開けられ、中からは何とも言えない顔をした銀時が出てきた。


「…お前ねぇ、トイレの前でそんなに泣かれたら、出るもんも出ねーよ。引っ込んじまっただろうが、どうしてくれんだコラ」

「うぅっ、空もいっしょはいる!」

「いや、無理だから!色々と無理だから!そんな状況でソフトクリーム製造出来ないからね!」


空をお登勢の所に預けたあの日から、空は銀時にべったり甘えるようになった。
少しでも銀時の姿が見えなくなると、家の中を泣きながら探す。
それが例えトイレでも。




「はぁ…原因は俺が置いてったことだって分かっちゃいるが、どうしたもんかねぇ」


膝の上には朝ご飯を食べる空。
今まで銀時の横に座って食べていたが、あの日以来膝の上に座って食べるようになった。



「ちょっと空さん、俺の足にいっぱい飯落ちてるんですけど」

「ん。あとでたべりゅ」

「いやいや違うから。ちゃんと茶碗持って食え」

「あい」


空の頭に顎を乗せると、大きな欠伸が1つ出た。


「今は甘えさせてあげたらいいんじゃないですか?きっとその内自分から離れていきますよ」

「離れていったら銀ちゃんの方が寂しくて泣くに決まってるネ」

「バカ言うな。俺は平気ですー」

「今だって、空が後ついてくるの可愛くてしょうがないって顔してるヨ。男ってほんと気持ち悪いネ。ってか銀ちゃんが気持ち悪いネ。空、気をつけるアルヨ」

「ん?」


朝ご飯を食べる手を止めて神楽の方を見る


「聞かんでいい」

「空、みんなとずっといっしょだよ!ねー?」


にこりと銀時の顔を見上げれば、銀時もつられて笑う


「だな。ってかお前顔汚ねっ!あーあー米粒だらけじゃねぇか」

「へへーっ」


笑うな、と頭を小突きつつも、顔についた米粒を取ると、そのまま自分の口へと運ぶ。




「ぎんちゃ、あとでこーえんいく?」

「あぁ。飯食ったら行くか」

「しゅべりだいとーぶらんことーおしゅなばとー」


なにしようかなーとニコニコしながら話す空を見て銀時は思う。




神楽の言うとおりだ。
まだ数週間だが、空が可愛くて仕方ねぇ。
離れて寂しくなるのは、確かに俺の方かもしれねぇな。






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