ねがいぼし
□小さな贈り物
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「あっ!おはなみーっけ!」
天気のいいある日。
空は銀時に手をひかれながら散歩をしていた。
目的地は近所の公園だが、何にでも興味を示す空はなかなか前に進まない。
そして今日は道端に咲いていた花を見つけて立ち止まった。
「きれー!ぎんちゃ、これかぎゅらとちんぱちのおみあげね!」
そう言うと嬉しそうに花を摘んでいく。
小さな両手が花でいっぱいになり、満足そうに立ち上がると、何やら向こうの方から爆発音が聞こえてきた。
「ドーンってゆったね」
「あぁ。ってゆうか嫌な予感がするんですけど。絶対嫌なやつに会いそうな気がするんですけど!」
「?」
「てめっ!朝からいい加減にしやがれ!」
「何でィ、せっかく祝ってあげてるんじゃないですか、死ね土方」
「てめぇが死ね!」
向こうに見えるのはバズーカを持ちながら澄ました顔をしている沖田と、真っ黒になって刀を抜く土方の姿。
「あーあーあー。やっぱりだよ、あいつらと会ったらろくな事ねーんだよな…。おい空、知らねー顔して行くぞ」
「そーごにーちゃー!としにーちゃー!」
「ちょっとォォォ!空ちゃん、銀さんの話聞いてたァァァ?!」
おーいと手をふる空に気付くと、2人の争いはピタリと止まり、こちらまで歩いてくる。
「なんでィ、空と旦那じゃねーですか」
「よう、久しぶりじゃねーかちびガキ」
「空、ちびがきちがうよー!」
ほっぺたをプゥーと膨らまして怒る空の頭を土方は優しい顔つきで撫でる。
「そーごにーちゃとケンカしてたの?ケンカだめなんだよ」
「こいつが朝から何発もバズーカぶっ放して来やがるからだ。」
「誕生日プレゼントだっつってんだろィ」
「そんなプレゼントいるかぁぁ!」
「としにーちゃ、きょうおたんじょーびなの?」
「あぁ、まあな」
「じゃあ、これあげる。おめでと!」
手渡されたのは両手いっぱいに持っていた摘んだばかりの花。
「ありがとな」
優しく撫でてやれば、嬉しそうにもう一度おめでと、と笑って首にぎゅっと抱きついた。
小さな贈り物