ねがいぼし

□15
1ページ/2ページ




朝起きたら、久しぶりに(と言っても1週間しか経ってねぇが)隣にある温もりに、ホッとした。

すやすやと無防備に眠っている空。

もう会えねぇと思ってたのにな。

小さな体に手を回してぎゅっと強く、それでも起こさないよう優しく抱き締めた。

このままもう一眠りしてしまおうか、と考えていると煩い眼鏡の声が聞こえて、ガラッと襖が開けられた。
くそっ、空気読めよ駄眼鏡。


「銀さん、いつまで寝てんですか。もう起きてくだ…えっ?!え、なんっ!えぇぇぇ?!」

「うるせぇ、空が起きるじゃねぇか」

「なんで空ちゃんがいるんですか?!」

「知らねーよ。昨日いきなり戻ってきたんだ」

「いきなりって…ちょ、神楽ちゃーん!!」


だからうるせぇって。
眼鏡叩き割んぞ。


「なんか呼んだアルカ、メガネ」

「空、空ちゃんが!」

「うわぁぁあ!空、戻ってきたアルカ?!」

「…んぅ」


新八と神楽がわーわー騒ぐなか、さすがにいつも寝起きの悪い空も身動ぎをする。


「空ー!」

「ばっ、起こすな神楽」


そう言った時には既に遅かった。
ゆっくりと開いた瞳がしばらく遠くを見つめた後に、しっかりと銀時達を映した。


「…ぎ、ちゃ」

「空」

「ぎんちゃー!!」


勢いよく起き上がり銀時に抱き付く。
それを銀時はしっかりと受け止め、力強く抱き締めた。


「ふぇー、うっうっ」

「泣くな泣くな」

「空、ぎんちゃたち、に…うっ、あいたかっ…た…ヒック」

「私達も会いたかったアル!」

「だっ…て、みんな、いなかったー!うわあああん」

「空ちゃん、元の世界に帰ってたの?」

「…ふぇ?」

「あーえっと…今まで誰といたの?」

「ヒック…せんせー、たち」

「やっぱ帰ってたみてぇだな」

「なんで戻って来たアルカ?」

「さぁな」


不思議そうに3人を見つめる空。


「ま、とりあえず帰ってきたんだ。飯でも食うか」

「うん!ちんぱちごあん!」

「じゃあ僕ちょっと作ってきますね」

「私もうお腹ぺこぺこネ」


1週間ぶりにいつもの日常が戻って来た。
空を中心として穏やかに流れる万事屋の日常が。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ