ねがいぼし
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「はーい!あけまーしゅ」
小さな体で扉を開けるとそこには…
「あんた…!空じゃないか!帰ってきたのかい!?」
「あ、おとしぇしゃん!ただいましたよー」
「そうかい、良かったねぇ」
そう言ってお登勢は優しく頭を撫でる。
「ところで、銀時いるかい?」
「あのね、ぎんちゃね、おへやいるけど、いないってゆえって。それでばいばいしてこいってゆってた。だから、ばいばいするね!空、おてちゅだいだから!」
ばいばーいと笑顔でドアを閉めようとする空にお登勢は静かに言った。
「ちょっと待ちな空。下にあんたのために買っておいた色鉛筆と画用紙があるんだよ。どうだい、遊びに来ないかい?」
「うわぁー!おえかきしたーい!」
「じゃあ一緒においで」
差し出された左手をなんの戸惑いもなく握る。
そしてお登勢は扉を閉める直前に中に向かって言った。
「空返してほしかったら、二ヶ月分の家賃持って下に来な」
ピシャリと閉まった玄関。
シン、と静まり返った万事屋に響くのは銀時の声だった。
「あんのババア!空を人質に取りやがったあああ!」
「…お登勢さんにやられましたね」
「もう銀ちゃんの負けネ。腎臓でも何でも売って、ババアに家賃渡すしかないアル」
「売ってたまるかボケ!ちっ、こうなったらなにがなんでも稼いできてやらぁ!」
バタバタと慌ただしく出て行く銀時。
「あの人絶対パチンコ行ったよ」
「銀ちゃん、空がかかるとパチンコも勝つからいいネ。負けたらそれまでヨ。それより私達も空のとこ行くアル」