ねがいぼし

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2つの大きな瞳がこちらを見上げるように見つめる。
それはもうキラキラと輝いた瞳で。

それに気付かないフリをしながらジャンプに目を通すが、わずか数秒で耐えられず声を上げた。


「だぁぁぁ!そんな期待に満ちた目で俺を見るな!」

「ぎーんちゃー」

「そんな甘えられてもねぇよ」

「いや!おてちゅだいするの!」

「んなこと言ったって、もう何にもすることねぇんだよ」


数日前に何気なく言った「お手伝い」の一言。
銀時にとってはお登勢を追い払うための言動だったが、空はそれから「お手伝い」にはまってしまった。
洗濯物や食器運びなど、簡単なものは新八から与えられたものの、昼食も終わり一段落した今、手伝ってもらう仕事は何もない。
神楽も定春と遊びに出掛けてしまい、遊び相手もいない。
ついでに依頼もないので、ソファーでだらりと寝転びジャンプを読む銀時の横に、何か手伝いをさせてもらおうと空は銀時にへばりついた。


「暇なら昼寝するか?」

「やだー」


銀時の体の上に乗り、下から腕のなかに頭を突っ込む。


「ジャンプ読めねぇじゃねぇか」


丁度ジャンプを開いていた間に空が入り込み、読めなくなってしまった銀時は仕方なくジャンプを閉じた。
空のサラサラの髪を手でといてやると、空も気持ちよさそうに目を閉じて、銀時の胸板に頭をコテンとのせた。
きっとこのまま寝てしまうのだろう、と思った時だった。



「銀さーん、冷蔵庫なにもありませんよ。今日の晩ごはんどうしますか?」


台所から聞こえた新八の声。
その声に空の目もパチッと開いた。
むくっと起き上がる空に銀時がため息をついた。


「空気よめよメガネ」

「え?」


なんのことだかさっぱり分からない新八はリビングに顔を出す。


「今良いとこだったんだよ。すげーほのぼのしてたんだよ。それをお前は!ほんとお前はメガネだな」

「あんた今日ずっとゴロゴロしてるだけじゃないですか」

「空ねてないよ!おきてたよー」

「嘘つけ。ねかけてたじゃねぇか」

「うそちがうー!おめめあいてたもん!」

「いーや、つぶってた」

「むぅー!!」


楽しそうに笑いながら空をからかって遊ぶ銀時に、新八はため息をついて話に割って入った。


「で!晩ごはんどうしますか?」




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