ねがいぼし
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あしいたい…
さみしい
だけど、おやくそく、まもれたよ
でも…
「ぎんちゃと…きたかったぁ…」
いつもの道のりが遠く感じる。
けれど角を曲がれば見慣れたスーパーが目に入り、溢れていた涙を袖でぐいっと拭いた。
スーパーはいつも銀時と通っているので、どこになにが置いてあるのかも何となくなら分かっている。
頼まれたじゃがいもとにんじんを探しに野菜コーナーを目指す。
「…あった!」
入口から真っ直ぐに進めば目に飛び込んできたのは、探していたオレンジ色。
にんじんを手にとって、回りを見回すと、棚の上に並んだじゃがいもを見つけた。
背伸びをして手を伸ばすが後少しの所が届かない。
いっつもぎんちゃが、だっこしてくれるから…
途端に涙が出そうになるが、堪えて再び手を伸ばした。
「これか?」
声がして目線を上げれば、そこには空が手を伸ばしていたじゃがいもを取り、ほらよと渡す先程の男。
「………」
「ほら、じゃがいもが取りたかったんじゃねぇのか?」
その言葉に空はフルフルと首をふる。
そして目にはぽろぽろと涙が溢れた。
「…ふっ…ふぇぇ」
「お、おい!こら、なんで泣くんだよ!」
てっきり喜ばれると思っていた土方は空の涙に驚き慌てる。
「空が…がじゃいも、とり、たかっ…たぁ」
なんだっつーんだ…
だからガキは嫌いなんだ。
別にこいつの後をついてきたわけじゃねぇ。
ただ、マヨネーズがなくなりそうだった事を思い出してスーパーに寄ったら、必死で棚に手を伸ばしながらまた泣きそうになっていたこいつを見かけた。
だから棚から一つ、じゃがいもを取って渡しただけだっつーのに。
目の前でわんわんと泣きわめくガキに、手に取ったじゃがいもは行き場をなくす。
これ、俺が泣かしたことになるのか…?
ため息を吐いて、じゃがいもを一度棚に戻してから、ガキを抱き上げた。
「ほら、好きなの取れ」
突然ふわっと浮かんだ体に驚いて、空の涙は止まった。
しばらく固まった後で、しゃくりあげながらも選んだじゃがいもを手に取った。
土方はそれを確認すると空をそっと下に降ろした。
「…悪かったな」
「あり、やと」
小さな声でお礼を言う空に土方は、くしゃりと頭を撫でる。
そして目線を合わせるようにしゃがみこんだ。
「他はかーちゃんに何頼まれたんだ?」
「…かー、ちゃ?」
「おつかいに来てんだろ?買うのはそんだけか?」
「こんだけ。でもかーちゃちがうよ。ぎんちゃだよ」
「ぎん…?」
土方の脳裏によからぬ人物が浮かび上がる。
「いや、まさかな。万事屋なわきゃねぇよな」
「空、よろじゅやしってるよ!ぎんちゃ、いっつもおでんわきたら、もしもしーよろじゅやでしゅーってゆってるの」
「おいおい、まじかよ…」
まさかこんな小さなガキが万事屋にいるなんて。