ねがいぼし
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「ふぇぇ…うっ」
「もう大丈夫だから泣き止めって。ほら、今日いい天気だぞ」
その言葉に空は上を見上げた。
「おふね!おふねいる!」
泣くのをピタリとやめ、船を指差す。
「おふね、しゅごいねー」
「珍しいか?」
「おふね、おそらにいるのはじめてみたぁ」
「天人は?」
「あまと?」
「あまんと。知らねえの?」
「しらなーい」
「…そっか。」
やはり、この辺の人間ではない、むしろこの世界の人間ではないのかもしれないと、銀時は思う。
もし、この世界の人間でないのなら、一体どうやって家に帰してやればいいのだろうか。
帰れない、もしそんな最悪の事態になった時、この子どもにどう説明すればいいのだろうか。
「空はどこから来たんだろうなぁ」
「空、まいごのねこちゃんー!いぬのおわありさんいるかなー?」
「お巡りさんな。定春がいるじゃねぇか。」
「しゃやはる、おわありさんちがう!」
へらへらと笑う空に、真剣に考えている自分がなんだか可笑しく思えて空をくすぐる。
「きゃははっ!きょしょばいー!」
「お前のことなんだからなー」
「わかっちゃ!やはははっ!やめてー!」
「分かってねぇだろ、絶対。」
「しゃやはる、おわありさんにしゅるからぁ!きゃーはははっ!」
2人じゃれついて遊んでいるとスナックお登勢の扉が開いた。