ねがいぼし
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空はすっかりお登勢に慣れ、機嫌よくお喋りを続ける。
「でねー空とりんちゃんであしょんだのー!」
「そうかい、良かったねぇ」
さっきからお登勢の顔もゆるみっぱなしだ。
しかし、初孫を喜ぶババアか、という銀時の頭を殴る事も忘れない。
ふと時計を見ると、銀時が思っていたよりも時間が経っていて、新八と神楽が遅いと怒る姿が簡単に目に浮かぶ。
「空、夕方だしそろそろ帰るか」
「おうちー?」
「そ。万事屋な。」
「空のおうちにはかえんない?」
「空の家はしばらく万事屋だって言ったろ?」
「ふーん」
まだ小さな子どもにどこまで理解出来るのだろうか。
空の返事にきっと分かっていないのだろうと心の中で思った。
「じゃあな。」
「銀時、しっかり世話してやるんだよ。この年頃の子は本来、母親にべったりなはずだからねぇ。」
「…わーってるよ。空、行くぞー」
タマとキャサリンにバイバイをしている空を呼ぶ。
「おとしぇしゃん、ばいばーい!」
「またおいで」
その言葉ににっこり笑うと、扉の前に立つ銀時の側まで走り手を掴んだ。
お登勢は店を出て行く2人を、本当の親子のようだと優しい顔で見つめた。