ねがいぼし

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店を出て空のペースに合わせゆっくり階段を上がる。


「気を付けろよー」

「…よいしょ、…よいしょ」


銀時には普通の階段でも空にとってはとても大きな階段で上るのも一苦労だった。
そんな空の手を転けないようしっかりと握る。
やっと万事屋の前まで辿り着き、扉を開けた。


「帰ったぞー」

「かえったじょー」


すると中から新八が出てくる。


「遅かったじゃないですか。心配してたんですよ!」

「ババアの所に行ってた。」

「そうだったんですか。」

「神楽いねぇのか?」

「定春の散歩です。僕、銀さん達が出掛けてる間に家に戻って空ちゃんの着物探して来たんです。姉上が小さい時に着てたのなんですけど、空ちゃんにぴったりだと思いますよ。」

「おう、わりぃな」

「いえいえ。空ちゃん、この着物着てね。」

「きもの…おまちゅり?」

「ここでは普段も着物を着るんだよ」

「なんで?」

「なんでって…なんでなんですか銀さん」

「いやそれはあれだ…着物が普段着だからだろ?」

「僕に聞かないで下さいよ。しかもそれ答えになってませんから。」

「じゃあお前は何でだと思うんだよ」

「それは…その…あれですよ、ほら。みんな着てるからですよ。」

「お前だって答えになってねぇじゃねえか。やっぱお前メガネだわ。」

「メガネ関係ないじゃないですか!」


「ぎんちゃ、おててどこー?」

「……あ?」


先ほどまでそばにいたはずなのに、回りには空の靴があり、本人の声はリビングから聞こえる。
自分も靴を脱ぎ声のする方へ行くと、ソファーの辺りで何かを探している空がいた。


「どした?」

「おててどこ?」


空は手を伸ばしながら尋ねてくるが銀時には分からない。


「空の手はここだろ」

「ちがうー!あわあわちゅけるの」

「…あー、手洗いな。」

「ん。てありゃい」

「こっちだ、こっち」


空の手を引き洗面所まで連れて行く。



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