ねがいぼし

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「空、着替えるぞ。」

「ぬがして」

「ほら、手上げろ」

「ばんじゃーい」



とりあえず全て脱がし、服を洗濯機に放り込んだ。
後は着物を着せるだけなのだが、新八の奴、着物どこ置きやがった…
リビングだろうか。



「空、ちょっと待ってな。」

「うん。」


頷いたのを確認してから、リビングに移動すると、部屋の隅に着物の入った鞄が置いてあった。
入っている着物を見て、どの色が一番空に似合うのかと、柄にもなく真剣に考えてしまった。



「ぎんちゃー!」


これだ、と着物を選んだのと同時に後ろから空の声が聞こえた。


「みてみてー!にあう?」


振り向けば俺の着物を着て照れたように笑う空の姿。


「なにしてんの?」

「ねぇにあうー?」

「でかくね?空はこっちだ。」

「空、これでいーよ」


せっかく着物を選んだのに、俺の着物をがっしりと掴んでいる。
ぶかぶかで着物の半分以上を引きずって歩いているのを見ると、そのまま放っておくわけにもいかない。


「空、こっち来なさい」

「やぁー!」


ケラケラと笑いながら逃げていく空に転ぶぞ、と声をかけようとした瞬間、






転んだ。







「……う」

「……空?」

「…うっうっうわぁぁん!」

「あーよしよし」


抱き起こしてみれば、赤く腫れたおでこ。


「こりゃ、たんこぶだな」

「ふえぇっ、こんぶいやぁー!」

「こんぶじゃねぇよ。ま、着替えてから冷やすか。」

「うっう、いたいー」



泣いている空の手をひき、寝室に戻り着物を着せる。
うん、なかなか可愛いじゃねぇか。
空も着物が珍しいのか、着せていくうちに泣きやんでいた。


「うわー、おまちゅりみたいねー!」


鏡に映る自分を珍しそうに眺めている。


「空のおでこ、まっかっか…」


こぶも冷やしてやらねぇとな。

キッチンから氷を取り出し、鏡にへばりついている空のこぶに当てる。


「ちゅめた!」

「ちょっと我慢してろ」

「もーいらない!ちゅめたい!」


逃げようとする頭を押さえ込めば、冷たさに堪えきれなくなったのか、だんだんと泣き顔に変わっていき慌てて離した。














「あ、かぎゅらおはよ!」

「おでこどうしたアルカ?」

「あのねー、ぎんちゃのおよーふくがこんぶで、ちゅめたかったのー」

「…銀ちゃん、空が朝からおかしいネ」

「俺は朝から疲れた…」



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