ねがいぼし
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スーパーへ行けば、丁度買い物の時間なのか人々で混み合っていた。
銀時は空の手を離さぬよう繋いだ小さな手に少し力を入れた。
「迷子になんなよー」
「はーい」
スーパーを周りながら、買い物かごにある程度食材を入れていく。
「おかずいーっぱいねー」
「家には胃拡張娘がいるからなぁ…」
「いか?」
「神楽のことだよ。すっげぇー食うからね、あいつ」
「ふーん。空もすっげぇーくうよ!おっきくなるんだもん!」
これぐらいの子どもなら、スーパーの中を走り回るぐらいの騒がしさがあると覚悟していたが、どうやらそれはいらぬ心配だったようで、空は大人しく銀時の隣を歩く。
「よっし、こんなもんだろ」
食材を入れ終えた銀時の目にふとお菓子コーナーがうつる。
「空、好きなもん1つ選んでいいぞ」
「え?」
「チョコでも飴でも好きなの選べ!」
「いいの?」
おぅ、と返事をすれば目を輝かせてお菓子を選び始める空。
自分のチョコレートもちゃっかりカゴに入れたところで、買い忘れた物を思い出した。
空を見れば、まだ真剣にお菓子を選んでいる。
「おい、空。銀さんちょっと買い忘れたモン取ってくっから、ここで選んどけ。」
「うん」
「決まってもぜってぇー動くんじゃねーぞ。すぐ戻ってくっから。」
「うん」
お菓子選びに夢中な彼女の視線はもちろん陳列棚で、銀時なんかではない。
本当に聞いてんのか、こいつ。
まぁこの様子じゃ、決めんのにまだ時間かかるだろ
小さな頭をポンポンと撫でると銀時はその場を離れた。