ねがいぼし

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食事も終わり、まったりとした時間を過ごしていた万事屋メンバー。
つい先程、新八が家に帰り、空と神楽は仲良くテレビを見ていた。

「よっし、そろそろ風呂入るか」

「え?」


今まで読んでいたジャンプを机に置き、立ち上がった銀時を空が見上げる。


「ばいばーい」

「いやいやいや、「ばいばーい」じゃないからね!お前に言ってんだからね!」

「えー、空やだ!」

「やだじゃねぇよ。ほら行くぞ」


手を掴み、立ち上がらせようとすると、隣の神楽に助けを求める。


「いやああ!かぎゅらー!」

「なんでそんなに嫌あるカ?」

「空おふろきらい…」

「でも入ったらすっきりするヨ」

「うぅっ…」

「おめぇー昨日も入ってねぇだろ」

「…………」

「はい、強制送還いたしまーす」

「いやああああー!」


嫌がる空を無理やり脱衣所まで連れて行き、着物を脱がせる。


「いやいやいや!ぎんちゃ、やめてー!おねがいよー!ふくとらないでー!」

「…なんか俺がめっちゃ悪いことしてるみたいだから、やめてくんないその言い方。」

「…ふぇーっ」

「大体なんでそんなに嫌がるかねぇ…」

「だっておふろあちゅいもん…」

「熱くしねぇから、んなぶつくされた顔すんな」


目に涙を溜めながらぶすっとした顔でつぶやく空の頬をむにっとつまむ。


「ほんと?」

「あぁ。」

「じゃあ、はいる!」

「おっし!」



風呂場のドアを開ければ、もわっと湯気が立ち込めた。

風呂の温度を手で確かめると、先程まで神楽が入っていたこともあり、すでにぬるま湯になっていた。


「これなら大丈夫だな。」

洗面器で体にお湯をかけてやれば、最初こそビクッとしていたものの、熱くないことが分かると、安心したようにホッと息をはく。


「熱くねぇだろ?」

「…うん!でもおかおはやだ」

「あーわかったわかった」

顔にお湯がかからないよう次はシャワーで優しく頭を洗っていく。
たまに目にかかるのか、その度に全力で顔を拭っている姿がなんとも可笑しくてつい笑ってしまう。

「ぎんちゃ、どしたの?」

「いやー空が面白くてつい」

「えー、空なんもしてないよー?」


何を思ったのか、銀時の方を振り返る。
しかし銀時は、空の後ろで、顔にお湯がかからないよう、シャワーで洗い流していたわけで…


突然振り返った空の顔にはシャワーが直撃。


「あっこら」

「…うっうわああああん!」

「ばっか、おまっ何やってんだよ!」

「うわああああん!おかおにかかったあああ!」




















その泣き声は下のスナックお登勢まで響きわたっていた。


「なにやら賑やかですね。」

「ったく、何やってんだい、あいつらは」

「近所迷惑ナ奴ラダナ。追イ出シテヤリマショウ」


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