うさぎの飼い方
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初めて地球に降り立った。
初めてこんなにたくさんの人を見た。
初めてこんなに大きな建物を見た。
地球って…江戸ってすごい。
興奮する気持ちとは裏腹に、初めての地球、大勢の人を目の当たりにすると不安な気持ちが拭えない。
「あの、すいません…真選組ってどこですか?」
真選組屯所が分からず、意を決して近くにいた銀髪のお兄さんに道を聞けば、これでもかと言うぐらい嫌な顔をされた。
一瞬、私の正体がばれたのかと思って、かぶっていた帽子を深くかぶりなおすが、そうではなかったらしい。
「お嬢ちゃん、あんなとこ行くの?やめとけやめとけ、ゴリラにマヨラーにドSに、ろくなやついねぇよ、あんなとこ。」
「ゴリラ…真選組ってゴリラもいるんですか」
「いるいる。どーしようもないからね、あいつら」
「…でも、私どうしても行かなきゃいけないんです。」
「ふーん。ま、真選組はそこの門左に曲がって真っ直ぐいったら着くぜ。何の用だかしらねーが、気をつけてな」
「はい。ありがとうございます。」
ぺこりと頭を下げると、お兄さんは私とは反対方向へと歩いていったのを見送ると、ホッと息を吐く。
優しい人で良かった…。
よし、真選組に行こう。
「お、さっきのお嬢ちゃん。真選組の用事はすんだのか?」
「あの、すいません…真選組ってどこですか?」
「…あれ、これデジャヴ?」
お兄さんに道を聞いたはずなのに、真選組には一向に着かず、うろうろしていたら、さっき反対方向へと歩いていったはずのお兄さんとまた会った。
「お前、教えてやったじゃねーか」
「教えて頂いた通りに進んだはずなんですけど…」
「左に曲がって真っ直ぐ歩くだけじゃねーか。教えてやった通りに進んだら、こんな道には出ねーんだよ。つか、こんな簡単な道、なに迷ってんだよ。どんだけ方向音痴なんだよ。」
「江戸って難しいですね」
「江戸とか関係ないからね。…ったくほらついて来い」
「え?」
「真選組まで送ってってやる」
「本当ですかっ?ありがとうございます!…えっと…」
「坂田銀時。万事屋やってんだ」
ほらよ、と渡された名刺には「万事屋銀ちゃん」と書かれていた。
「坂田さん、真選組まで連れてってくださいますか?」
「依頼料は初回に限りサービスしてやるぜ」
初めて地球に降り立った。
初めて優しい地球人に会った。