うさぎの飼い方
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「名前は?」
「…な、名乗るほどの者ではありません」
「てめぇ、自分の立場分かってんのか」
「被害者です」
バズーカを取り出し、目標を真選組屯所に定めたまでは良かった。
けれど私は撃っていない。
撃たれたのだ。
真選組一番隊の隊長 沖田総悟に。
私が撃とうとした瞬間、私よりも先に、沖田は私に狙いを定めて後ろから撃った。
撃たれた私はそのまま気を失ってしまい、目を覚ませば、真選組副長 土方十四郎により取り調べ室に連行された。
かぶっていた帽子も爆風で吹き飛ばされたらしく、隠していたうさ耳が存在を主張している。
このまま殺されるのかな。
不安で泣きそうになるが、この人達の前で涙なんか絶対に流さない。
平気なフリをするために、うなだれそうになる耳を必死で真っ直ぐ立てた。
「屯所にバズーカぶっ放そうとしたやつが被害者なわけねーだろ」
「私、撃ってません…。撃たれました。」
「てめーが撃とうとしたからだ。もう一度聞く。名前は?」
「………」
「どっから来た、何が目的だ」
「…………」
「このまま言わねえつもりか?女だからって手加減しねぇぞ」
その言葉に体を固くさせる。
するとまるで見計らったかのように後ろのドアが開き、心臓がドキッと鳴ったと共に恥ずかしくも、ひっと声が漏れた。
「女一人に何やってんだ、これだからダメなんでィ死ね土方」
「てめっ、総悟!」
「おい女、お前これ趣味かい?」
そう言って沖田は私の耳を強く上に引っ張った。
「いたたたたたっ!やめっ、やめてください!本物です!」
「本物?なんでィ、ってことは天人か。おい名前は?」
「未兎!未兎です!いたい!もう離してください!」
「チッ。とりあえず今はこれぐらいで許してやりまさァ」
やっと解放された耳を涙目でさする。
なんて怖い人だ…。
顔はまるで新しいオモチャを見つけた子どものように楽しそう。
これには心なしか土方も顔をひきつらせて私に同情の目を向ける。
「あー…で、真選組に何の恨みがある。」
ゴホンと咳払いをして、取り調べを再開させる。
「場合によっては命は無いと思え。」
「…し…て」
「あ?」
下を向いたまま小さく呟いた声はしっかりと土方の耳に届いていて、空気の変化に気付き眉間にしわを寄せる。
隣の沖田も同様に、未兎を見つめた。
「私の…私の住む場所奪ったのはあなた達じゃないですか。どうしてですか?!」
あの星で生きて、死んでいくつもりだった。
たったひとりで。
それで良かった。
まさか星がなくなるなんて思わなかった。