うさぎの飼い方
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「総悟が打ったバズーカ…」
「忘れたとは言わせません!」
もちろん忘れもしない。
星1つやっちまったんだ、始末書はすごい事になっていた。
しかし、それを総悟が大人しくするはずもなく、徹夜で仕上げたのはつい最近の出来事だ。
「…確かに覚えてやすが、あの星に人が住んでたなんて、山崎の報告にはそんなことありやせんでしたぜ」
「あぁ。…総悟、ちょっと近藤さん呼んでこい。」
沖田が部屋を出れば辺りはしん、と静まり返る。
「俺らは"あの星には誰も住んでいない"と報告を受けていた」
「…そうだと思います。あんな小さな星に私1人、ましてやお母さんはあの星に私を連れて逃げてきたんです。わざわざ公にする訳もないですから…。」
そりゃそうだ
土方は煙草を吸うと、フーッと煙を吐き出した。
まさかこんな女が住んでいたなんて。
屯所にバズーカをぶっ放そうとしていたのを総悟がとっつかまえたが、まさかその原因がこちらにあったとは。
そりゃ、自分の星を爆破されたら、仕返しに来るわな。
いっそのこと総悟だけ渡してケリをつけようか。
お互いが何も喋らない静まった空間で、そんな事を考えてどのぐらい経っただろうか。
数人の足音が近付き、部屋の前で止まったかと思えば、扉が開いた。
「トシ!女の子があの星にいたって本当か?!」
あぁ、と返事をして目線をやれば、未兎は目を丸くして近藤さんを凝視していた。
「…真選組ってほんとにゴリラ飼ってたんですね…」
「えっ?それ俺見て言ってる?俺見て言ってるよね?!」
「近藤さん、落ち着いてくだせェ。そりゃ動物園でもないとこでゴリラなんか見たら誰でも驚きまさァ。」
「ちょっと総悟ォォォ!誰のフォローしてるの?!トシ助けてェェェ!」
「…うるせぇよ」
呆れてため息をつけば、未兎の耳がそれに反応するようにピクリと動く。
やはりウサギの耳は音に敏感らしい。
「近藤さん、こいつが数日前に総悟が撃ったバズーカで爆破した星に住んでいたらしい。」
「あぁ、さっき総悟から聞いた。未兎ちゃん…だったかな。本当にすまなかった。謝ってどうにかなる問題ではないかもしれんが、この通りだ。」
そう言って、近藤さんが頭を下げると、今までピンと立っていた未兎の耳がみるみる下にうなだれていく。
「未兎ちゃんが、真選組を恨む気持ちは分かる。だが、ここを爆破されるのは困るんだ。もし、実行されれば、俺らは君を捕らえて処罰を与えなければいけなくなる。」
「…私は…これから…どうしたらっ…?」
震える声で未兎が小さく呟いた。
「ずっと…ずっとあの星にいたんです。知り合いもいないし、住む場所もお金だってない…どうすればいいのっ?」
目に涙をためて、近藤さんを見つめる。
そして近藤さんは申し訳なさそうに呟いた。
「もし…もし君がいいのであれば真選組で働かないか?」