うさぎの飼い方

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「なっ?!近藤さん、あんた何言ってんだ!」

俺と総悟、そして言われた未兎本人もが驚いているのをよそに近藤さんは続ける。


「恨んでいる所で働けなんて、バカな事を言っているのは分かっている。でも真選組に住み込みで女中をしてくれれば、部屋は確保出来るし、給料だって渡せる。…俺らが君にしてあげられることはこれぐらいしかないんだ」

「なん…、でも私、真選組を…爆破しようと…」

「あんな小さいバズーカでですかィ?」

「え?」

「あんな小さいバズーカ、人一人殺せねぇや」

「そう…なんですか」


開いた口が塞がらないとはまさにこの事だろうか。
バカにしたように笑う総悟をぽかんと見つめたまま未兎は動かない。



「元々の責任はこちらにある。未兎ちゃんさえ良ければどうだ?」

「…よろしくおねが」

「俺は反対だ」


頭を下げかけた未兎の言葉を遮る。


「真選組に住み込みで女を雇うなんて危険すぎる。第一、こっちに非があったとしても、こいつの身元はまだ名前しか分かってねーんだぞ」


そういうと未兎は顔を俯かせる。


「土方さん、あんたのせいでもあるのに、それはねぇや」

「あ?何が言いてぇ」

「未兎の星が爆破したのは、あんたのせいでもあるって言ってるんでさァ」

「何で俺なんだ。バズーカぶっ放したのはてめぇじゃねーか」


これには近藤さんも訳が分からないというように会話の成り行きを聞いている。


「あの時、俺がどうしてバズーカを撃ったか覚えてやすかぃ?」

「いつもみたいに俺を殺そうと…」

「そうでさァ。あんたに向けて撃ったバズーカ。あんたが避けたから未兎の星に当たっちまったんでぃ。あそこで当たってればなぁ…」

「そら避けるわァァァ!てめっ、それは俺のせいじゃねぇだろ!」

「ひどい…あなたのせいで私の星が…うぅっ」

「ひどいのはお前だっ!なんだ、俺に死ねってか、死ねって言ってんのか?!」

「あぁ。責任とって死んでくだせぇ土方コノヤロー」

「お前は黙ってろ!」

「まぁまぁ、二人とも落ち着け」


俺らの間に近藤さんが割って入る。
ちくしょう何だってんだ。
総悟のふざけた話にまさかこいつまで乗ってくるとは…
さっきまで俯いていたくせに、今では俺らのやり取りをニコニコ聞いてやがる。
こいつここに何しに来たのか最初の目的忘れてんじゃねぇのか。
絶対バカだ、こいつ絶対バカだ。



「トシ、未兎ちゃんは悪い子じゃない。目を見れば分かる。真っ直ぐで綺麗な目をしてるじゃないか。」


こうなったらもう近藤さんは俺がなんと言おうが絶対に退かないと分かっている。


「チッ。あんたがそう言うなら好きにしろ、俺はもうしらねぇ。」

「未兎ちゃん、これからよろしくな。真選組は君の見方になるからな」

「あ…ありがとうございます、ゴリラさん!」

「あれっ?今すごく良いシーンだったよね?最後の最後にゴリラって聞こえたんだけど!えっまだ引っ張ってたのこの子?!」


感動の場面(なのかも分からないが)をぶち壊した本人は、近藤さんの突っ込みなんか気にもせず、目に涙を浮かべて喜んでいる。

きっと住む場所もなく不安だったのだろう。
そんな気持ちは分かるが、やはり100%信用する事は出来ない。
頭の弱そうなこいつが何かを企んでそうにも思えないのも事実だが…。


煙草を取り出すと、賑やかな部屋を後にする。
廊下に出て山崎、と呟くと言われた本人はすぐに姿を表した。
未兎の取り調べからずっと見張っていたのだ。


「話はお前も聞いた通りだ」

「良い子そうなんですけどねぇ」

「できる限りの身元、それから妖兎族について調べろ」

「了解」



廊下まで響き渡る賑やかな声に、これからどうなるのか溜め息がもれた。



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