短編
□おはよう
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朝起きたら横で一緒に寝ていたはずの銀にぃちゃがいなかった
「銀にぃちゃ…」
涙が出そうになるのを我慢して、部屋を出ると、台所には朝ご飯を作る銀にぃちゃの姿
「ぎ、銀にぃちゃー」
なんだここにいたのか
安心してぎゅっと抱きつくと、お菓子のような甘くていい匂いがした
「おー、起きたか夢子。おはよ。今ホットケーキ作ってるからなぁ、もうちょっと待ってな」
ぽんぽんと頭を撫でられ、またフライパンを握り直す銀にぃちゃの足に頭をぐりぐりする
「なんだ、まだ寝ぼけてんのか?…って、え?!なに?泣いてる?!」
「ふぇ、えー」
なんだなんだと焦る銀にぃちゃ
だって寂しかったんだもん
泣いてる顔が見られないように、涙を拭うようにひたすら足に顔をぐりぐりした。
そしたらすっと、銀にぃちゃに抱っこされた。
「どしたの?」
「だっ、て…ヒック…銀にぃ、ちゃ…いなかっ、た…ふぇ…」
「あー、わりぃわりぃ。あんまり気持ちよさそうに寝てたから…ごめんな?変わりに兄ちゃんが世界一うまいホットケーキ作ってやるから泣き止め!」
「…うん」
ズビッと鼻をすすると、大きな手が涙を拭いてくれる。
そのまま静かに下におろされ、側でホットケーキが出来上がるのを待った。
出来上がったホットケーキに生クリームをのせて、銀にぃちゃと一緒にいただきます。
銀にぃちゃと食べるホットケーキは世界一美味しいホットケーキ!
朝起きたらいなかったことが、ただそれだけのことが、とても寂しかった。
だって隣にいることが当たり前なんだから。
おはよう