月奏アーネジェウ

□dawn of the kings ep2
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これは恩返しだ



*月奏アーネジェウ*
dawn of the kings
ep2 今はなき乙女に捧ぐパヴァーヌ



「へぇ!アテム先生って、あの遊戯さんと知り合いなんだな!!」
「ああ」

着任式が終わった直後、十代は鮫島校長に呼び出され、新任の先生の案内を頼まれた。
十代はそれを心良く引き受けると、先生連れて島を案内して回った。
そして現在。
十代はかつて万丈目が入寮した際に改装した部屋にいる。
どうやたそのまま教員用の部屋にしたらしい。
学校の施設や島の名所などを案内する傍ら、アテムとは自然と道中で会話することになり、今に至っている。
「相棒とのデュエルの戦績は五分だな。勝ったり負けたりしてる」
「すげぇ!遊戯さんに勝ったことがあるんだ!!ん?でも、相棒って…?」
最初は緊張していた十代だが、意外に気さくな人柄ですぐに打ち解けることができた。
これなら何の気兼ねなく生活していけるだろう。
そう思いながら、十代はいれてもらったココアを飲んだ。
「良くタッグを組んでデュエルするんだ。だから"相棒"。それに、ほら、よく似てるだろ?だから相棒は相棒で、俺を"もう一人のボク"って呼ぶこともあるんだぜ」
そう言ってアテムは笑った。
十代はきらきらとした瞳でアテムを見上げる。

特徴的な金の前髪に、濃赤紫の髪。
濃い紫の瞳は光の入り方によっては紅く見える。
肌が褐色であることを除けば、アテムは十代の尊敬する初代デュエルキング武藤遊戯と瓜二つの容姿をしている。
だが、こうして話してみると二人は全然違う。
遊戯さんに直接あったのはたった一度だけっだったけれど、それでもその人となりはだいたい察せられた。
ハネクリボーを貰った時に見たあのやわらかな微笑は今でも覚えている。
優しく穏やか、けれどしなやかでけして折れない強さを持っている人。
十代はそう感じた。
対してアテムに抱いた印象は、似通っているようで違う。
鋭く、硬質で、その立ち居振る舞いにはどこか気品が漂う。
威風堂々とした、形容しがたいけれど、そう、まさに王の風格というものを感じた。

容姿はよく似ているけれど、全く違う二人。

そんな二人が展開すれのはどんなデュエルなのだろうか?
タッグデュエルなら、どんなコンビネーションで攻めてくるのだろうか?
先生に対する興味は尽きない。
ならばすることは一つしかない。

「先生、デッキ持ってる?テーブルでいいからデュエルしようぜ!!」
十代の言葉にアテムは目を丸めた。
そして苦笑すると、腰のデッキホルダーに手を伸ばす。
「いいぜ。ただし手加減はしないぜ」
にやりと不敵に笑うアテムに、十代も笑みを返す。
「望むところだ!!」




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