アークティック校騒動記

□6、たしかにスタートダッシュは肝心だけど(ry
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6、たしかにスタートダッシュは肝心だけど、流石にこれはないんじゃないの?
―"親友"って言葉は免罪符じゃないと思うんだ



レオ達が到着する頃には、教室にはある所を中心にクレーターができていた。
「おいおい…マジかよ…」
ヨハンが当然のように十代の隣に座り、あまつ談笑しているのである。
「しかも、近づく男をさりげなく目で牽制してるよ…」
レオは溜め息を吐きながら言った。
無理もないだろう。
レオ達は今から、あそこに行かなければならないのだから。
教室に入ると、一部から期待の込められた眼差しが向けられる。
このクラスでヨハンと一番親しい友人はレオとシャルルである。
ヨハンの牽制解除に自然と期待がかかる。
(そんな期待、いらないっての!)
シャルルは内心で愚痴る。
横を見れば、レオが素晴らしい笑顔でヨハン達を示している。
(いけってか!?俺に特攻しろってか!?)
シャルルは嘆く。
しかし、悲しいことに、現状をなんとかできるのも自分達しかいないことを自覚してた。
シャルルはありったけの空元気をかき集めて、二人に声をかける。

「Bonjour.お二人さん。俺様もお話仲間に入れてくれない??」
そう言って、シャルルは十代の真後ろの席に座り、二人に話しかける。
二人は同時に振り返る。
十代はきょとりと、ヨハンは心底ウザそうに。
朝の黄昏ぶりがどこにいったのやら、シャルルは泣きたくなった。
「や!十代ちゃん。さっきぶり。今度はお兄さんとお話しない?」
シャルルは爽やかな笑顔を十代に向ける。
十代はすぐにきらきらと瞳を輝かせる。
「おう!さっきぶり!」
十代は元気よく答える。
「良かったぁ。さっきからヨハンしか話しかけてくれなくてさ…そろそろ俺から挨拶に回ろうと思ってた所だったんだ!」
にぱ、と朗らかに笑う十代を見て、シャルルは言った。
「あらー?じゃぁ、俺様、結構いいタイミングで十代ちゃんに話しかけたわけ?」
「そうだな。なんでも質問してくれよ!全部答えるから!」
にこにこと笑いながら十代は言った。
なんでも…、とういう言葉にシャルルは息を呑む。
「じゃあ…スリーサ「なぁ〜に、楽しそうに話してるの?ボクも仲間に入れてよ!」
シャルルの言葉が遮られ、レオが会話に割り込んでくる。
「ねぇ、十代。聞きたいことがあるんだけどさ…」
矢継ぎ早に繰り出される質問に十代は答えていく。
自然と会話が十代、シャルル、レオの3人の間で交わされるようになる。

こうなると面白くないのは隣にいるヨハンである。
十代とアークティック校の人間が仲良くなるのは喜ばしいことだが、十代の一番は自分でなければならない。
シャルル達と楽しそうに会話しているのもいいが、少しは自分に気を向けてほしい。
そこでヨハンはあることを思いついた。
にやりと笑うと十代達を見た。



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